●妹

私は3人姉妹の真ん中です。
4つ上の姉と2つ年下の妹がいます。
実家は阪神大震災で、家を失い、今小さなマンションで妹と母と二人暮しで
生活しています。
母は最近身体のあちこちに痛みを訴え、歩けなくなってきました。
その妹に最近よく吼えられるんですよね。
妹は、甘えることを自分に許さない、超超自立型の女性です。
本を読むのが大好きで、ジャンルこだわらずいろんな本を読むものだから、
非常にたくさんの知識があり、それはわたくし足元にもおよびません。
頭の回転が速く、口喧嘩は100%私が負けます。
それでいて、インターネットにマンガを連載したり、認められて雑誌に掲載されたり、
家に入らないほどのでっかいキャンバスに絵を描き、あちこちで入選しまくっている
という多趣味で活動的な妹でもあります。
そんな妹は・・・・・。
強烈なストレス持ちです。
「会社辞めてやる!」が口癖です。
「お姉ちゃんもちゃんとお母さんの病気や私の苦労を考えてよ!!」のセリフが友達です。
彼女は私がカウンセラーという仕事をしていることを認めません。
だから私にほとんど相談事をしたりしないんです。
姉からはいろいろ相談されますが、妹は今までに一度も家族ももちろんですが、私にも相談事を
持ちかけることはありませんでした。
なぜなら。
妹は、私が自分自身を最低だと感じ、めちゃくちゃしていた時代をよく知っている
からです。
恋愛依存で泣いてばかりで、男にすがりつき、わがままいっぱいで妹にきつくあたり、
母に対して知らん顔して、夜の商売に足をそめていた頃の私をよく知っているからです。
こんな私がカウンセラーをするようになったこと自体、私自身未だ持って
信じられないなぁと感じることもあり、たくさんの方のご相談をお聴きしているのにもかかわらず、
この仕事をしている自分がおこがましい気がしてならないときもあります。
私自身そうなのだから、妹にとっては受け入れられなくて当然だとも思います。
私は姉には自分の持っている汚い部分をさらけ出し大泣きしたことがありました。
だから姉は私を頼ってくれるようになったんです。
だけど妹には上手にコミュニケーション出来ません。
「あのお姉ちゃんが、人の悩みなんて上手に聞けるわけがない!」
そう思っているように感じるからです。
それだけ私は妹のことも姉のことも
考えないで、ずっと勝手気ままに生きてきたんです。
母や姉が私の仕事に関心を持ち、いろいろ聞いてくる中で、妹だけは全く無視してる状態
なんですね。ふーんとも、そうなん? とも何も言いません。カウンセリングという
言葉ひとつも彼女の口からは出てきません。
2年程前、彼女が私にこう言ったことを覚えています。
「うつ病なんて、怖いやん! 私はこんなんになるほど弱くなんかならないわ!!」と。
最近妹からたくさんメールが来ます。
「家が、お母さんがどうなってるか知ってるの!? 分かってる? こんなに大変な状態なのを!」
「ご飯食べに連れて行くような、楽しいことばかりでかかわってくるけど、毎日毎日、
身体が悪くなる一方のお母さん見てるの私やねんで!!」
それらのメールを見るたびに悲しくなります。
母とはメールや電話で会話もまめにしますが、どれだけやっても妹には理解してもらえないのかと。
どうしたら妹に理解してもらえるのか。どうしたら分かってもらえるのか。。。
そんなとき私は「分かってよ!」「理解してよ!!」モード一色なんですよね。
怒りと悲しみが先に出て、妹を
「理解しよう」「分かろう」としていないんです。
”自分はやってるのに、努力してるのに”ということだけを伝えようとして、相手がメールする気持ちを
理解しようとしていないことに気づきます。
妹はなぜこんなに私に攻撃的になるのか・・・。
彼女は自分に持ってないものを私が持っていることに怒りを感じてるようです。
妹は未婚、彼がいません。仕事と趣味はたくさんあるけれど、パートナーがいないことをひどく
気にしています。
だから幸せいっぱいにみえる私を見たくないところもあるようです。
私にだって、私なりの悩みや苦労や悲しみがたくさんありますが、彼女には
「何にも悩みなくてチャラチャラしてる」と見られるんですよね。
妹が今回またそんなメールを書いてきました。
私はあまり何度もなので思い切り泣いたあと、冷静に考えました。
そしてこういうメールを出したんです。
「確かに毎日お母さんと二人だけで生活しているのだから、お母さんの病気や足の悪さの進行が
私よりもよく分かってて、それを見てるのはすごくつらいと思う。だから私の毎日ってちゃらちゃらして
見えて当然かもしれないね。だけど、お母さんが言わないだけで、私はメールも電話も結構まめにしてるよ。
お母さんも毎回、電話ありがとうと言ってくれるよ。自分の家族のことをほったらかしにはしないし、
いつも気にしてるし、こっちでも彼とよく話もします。
だけどそれがあなたに伝わっていなかったとしたら、
すごく悲しいです。
だけどこうやってお叱りメールをもらうことでそっちの状況が分かるというのもあるから
そこはすごく感謝してるよ。ありがとうね。」
実際妹がそれを教えてくれなければ、私は実家のことがよくわからないままになることがあります。
連絡していても、母の日々の変化はすぐには分かりません。
それによって妹がどれだけつらい状態かも分からないままです。
このメールを送ってから10日くらい後、彼女から初めてこんな返事が来ました。
「先日のお姉ちゃんの意見は、もっともだと思ったわ。お母さんは自分から連絡しないのに、かまってもらい
たがるから。しかも自分で言わず私に言わそうとする。甘えてんねん。娘やし。でもこれから全部を
真に受けんとくな、私も。やばいと感じたら相談もする。そうしないと意味ないわな。よろしく」
ぶっきらぼうな言い方だけど、私は涙が出るほど嬉しかったです。
私は今、自分の家族が好きです。
何十年もないがしろにしてきました。
母のことはもちろん、姉のことも、そして妹のことも。
一番身近な人たちだからこそ、すごくコミュニケーションは難しくて、勇気も要ります。
だけどその怖さより、つながりを見て行きたいと思います。
どこまで上手に出来るかわかりませんが、
大切な家族だからこそ少しずつでも、今よりも更に近づいて行きたいと思っています。
小川のりこ

この記事を書いたカウンセラー

About Author

アルコール依存症の父からの虐待経験、学生時代のいじめから、恋愛依存、不倫や風俗を経て、自分を抑え付けるような結婚生活後、8年で離婚。その後自分に向き合い、今は穏やかに生きる。 過去のあらゆる経験をもとにして、恋愛関係、家族関係を得意とし、お客様と共に成長するスタイルを取る。