自分の思いと現実、無意識のお話

私たちは自分を制限するルールをたくさん持っている

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

「カウンセリングを受けるほどのことではないのですが、前々から一度聞いてみたいことがありまして・・・」というご相談を受けることがあるのですが、こういったケースでのご相談内容として多いのが、「何となく彼がいないんですよ。別に、さほど欲しいとも思ってないのですが」というものです。

こういったご相談は、立ち話のついで、という感じで伺うことが多いのですが、私は個人的にこのような話がとても大好きなのです。

というのも、こういった軽い問題というのは、ご相談者もおっしゃっているように「カウンセリングを受けるほどのこともない」と思われることが多いようで、臨床案件としては、多くないのです。

そこで、私も、立ち話にも関わらず、結構、じっくりと掘り下げてしまうことが度々あったりします。

一般的に、社会人である多くのみなさんは、色んな形で、自分を抑圧したり、制限したりしながら、生きていらっしゃいます。

気を遣いながら、人の顔色を伺いながら、自分にルールを作って、生きている人は、無意識に自分の感情を制限しているため、男女関係や、結婚を何かの制限のように感じてしまうことがとても多いようです。

例えば、女性がこんな会話をしているのを聞くことがあります。

「もうちょっと遊んでから、結婚したいなぁ」

「結婚するまでに、行きたいところに行っとかないとなぁ」

「今年の暮れに結婚するから、今のうちに好きなものをいっぱい食べて、お買い物もいっぱいしておこう」

ごく、ありふれた日常会話なのですが、よく見るとこれらはみんな、結婚に関する制限を表しています。

「結婚とは、遊べないもの、行きたいところにも行けないもので、しかも、おいしいものも食べられず、買い物も心おきなくできないものである」という自己概念がなかったとしたら、上に書いたような日常会話は存在しないのです。

実際の結婚がそんなに不自由なものかどうかは置いておくとして、私たちは、結婚することが、自分をますます不自由にし、制限してしまうように感じてしまうようです。

しかし、結婚や男女関係が私たちにとって本当に不自由なものであるとしたら、これほど多くの人がパートナーを求めるはずはないと思いませんか?

これと同じような会話は、就職する前の学生の間でも聞かれます。

どうも、私たちは、自分を制限するルールをとてもたくさん持っているようです。

多くの社会人は、「会社では、泣きたいときでも笑わなくてはいけない」とか、「接客業では、どんなことがあったとしてもいつも笑顔でいないといけない」と思っています。

自分を殺してしか生きていけないように誤解されている人もとても多いようです。

この制限や制約が、あまりにも多くなりすぎると、対人関係やパートナーシップでさえも自分をさらに制約する材料のように感じられてしまうのです。

私たちは無意識的に、彼や彼女のためには、したくないこともいっぱいしないといけないとか、自分を殺さなければいけないと感じてしまっているようです。

確かに、結婚したら独身時代ほど食べ歩きをしたり、遊んだりできなくなかもしれません。

しかし、彼と囲む食卓は、一人で食べるフランス料理よりもずっと楽しいひとときかもしれません。

自分自身にしてきた制限をひとつづつ開放していくことができたなら、あなたは、本当の自由を取り戻すことができます。

私たちは、人との関係の中で、様々なよろいを身につけますが、誰でもパートナーとの間では、気を遣いたくないのです。

パートナーに、本当のあなた自身を知ってもらうことができたなら、あなたは本当に自由に振舞えるはずなのです。

しかし、私たちは、誰かに対して開放的であること、自分をさらけ出すことに、怖れを持っています。私たちは、思春期以降、自分を隠すことを覚えていきます。

中学生や高校生の時、大好きな人の前では、その気持ちを知られるのが恥ずかしいので、正反対な振る舞いや態度をとったことはなかったでしょうか?

自分が感じている感情を正直に分かち合う変わりに、自分の気持ちを隠して相手に合わせるということをやりすぎてきたために、私たちは、本当に感じている感情を表現することに、慣れていないのです。

ただ慣れていないだけなのですが、パートナーに感情を表現しようとするときでも、私たちは、気を遣わなくてはいけないように感じてしまうのです。

大好きな人とはじめてデートをするときに、嫌われないようにと緊張してガチガチになってしまうというのは、よく聞く話です。

私たちは、自分自身に自信がもてない度合いだけ、こんな自分を表現したら嫌われるのではないか?という怖れを持つのです。

どのカップルでも、恋愛初期段階では、多かれ少なかれそういう部分がありますが、お互いにどんどん分かり合えるようになると、気兼ねのない関係になっていくのですが、ここを上手に乗り越えられないようなタイプの人がいるのも事実です。

来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。