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Lecture.702

親が自分の価値観を押し付けてくる時 〜親も自分も「わかってほしい」と願っている〜

講師:池尾昌紀

親と子の価値観が違う時。そのことで意思の疎通が図れなかったり、親から批判を受けたりして、嫌な思いをすると、子どもはとても苦しい思いをします。
親が価値観に固執するのは何か理由があるはずです。この視点で整理すると、親の世代では当たり前の価値観だったという背景や、親の結婚生活での苦労を考えて、理解してあげることが打開策になります。
また、批判する親の心理には「自分はダメだ」という無価値感を隠すためだったり、「わかってほしい」という願いが隠れている場合があります。
その心理は、もしかすると子どもである自分にも当てはまるのかもしれません。
「親が自分を受け入れてくれない」悲しみがイライラを生むとしたら。
親子とも、お互いに受け入れて欲しいと願っている心理が背景にある場合もあるのです。

Keywords
親との関係 価値観 世代間のギャップ 批判 無価値感

◎リクエストを頂きました◎
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時代遅れの価値観を持つ親にイライラします。
「結婚する時は、男性の家が結納金を用意して、娘さんを下さいとお願いに来るのが当然だ」
「親の介護のために嫁は仕事を辞めるのが当然だ」などと、いったいいつの時代の価値観?
と呆れるようなことを平気で言い、その価値観にそぐわない人を批判するのです。
私の夫も、結納をしなかったことで批判対象になっています。
30年か40年前の価値観に凝り固まっているのを変えるのは困難だと思いますが、せめてこのような親と接する上でストレスを軽減できる方法はありますでしょうか。
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親との価値観の違いや批判などを、どのように受け止め、親と接していけばいいのでしょうか。

具体的な方法としては、「親の気持ちを理解すること」があげられます。
恨みつらみや、イライラを解消する方法は、相手を許すこと。
許すというのは難しいことですが、その最初の一歩は、相手を理解することなのです。

親が価値観に凝り固まっている時、なぜそこまで固執するのでしょう。
あえて、単に頑固だ、というだけではない理由があるはずだ、と考えてみましょう。

こうして、親の生きてきた背景を想像してみること、そして、もし自分が同じ人生を生きていたらどうだったのだろう、と考えてみます。

その時、親がどのように苦労したか、どのように大変だったかを、理解してみようと思ってみる。
可能なら、親や親類などに聞いて具体的な情報を集めてみるのもいいでしょう。

すると、この価値観を生んだ背景や、そう思わざるを得ない理由が見えてくることがあります。

昔の日本は、亭主関白、良妻賢母の考え方が強い時代がありました。
また、結婚そのものの考え方が、個人と個人というよりも、家と家の結びつき、が強かった。

人は、自分がされたようにしか、誰かに接しられない、という言葉があります。

こうした時代背景や、親自身が経験した結婚というものは、そのまま子どもに伝えてしまいがちなんですね。

親の気持ちを理解しようとしていくと、その大変さ、苦労や悲しみや悔しさなどが想像できていきます。心で納得できなくてもいいのです。まずは頭で理解していく。

そして、「やり方や言い方はとてもほめられたものではないけれど、親にも仕方がない理由があったのかもしれない」と思ってみる。
この「かもしれない」というのが、やりやすいポイントです。

次に、そうは言っても、なぜ批判するのか、という点についてお話したいと思います。

批判というのは攻撃の一種です。
攻撃というのは、心理的に見ると「自己攻撃や自己嫌悪」であることが多いのです。

つまり、批判している親自身が、自分のことを「こんな自分はダメだ」「親失格だ」と思っている可能性があるのですね。
こうした心理を無価値感と呼んだりします。

親本人も自覚がないことが多いのですが、もし「自分はダメ」という無価値感が強いと、それを隠さないと、ますます自分が苦しくなるので、「強固に自分の正しさを主張する」という行動に出ることがあります。

自分の正しさにこだわることで、自分の弱さを守ろうとするわけです。

そして、こうした気持ちの後ろには、「自分のことをわかってもらえてない悲しみ」がくっついている場合があります。

人が自然に求める気持ちには「わかってほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」という三つがあると言われます。

この言葉を本当は言いたいのに、素直に言うことができない。
その代わりに「自分の正しさを主張すること」「批判すること」をしてしまう。
昔の方は、自分の素直な気持ちを言ってはいけない、それは我慢しなければならない、という環境で生きてきた可能性が高い。
どう表現していいかわからないから、攻撃的になる、不器用な方も多いのです。

もしそうであれば、親は「わかってほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」のだと、その言動を変換してあげる、という作業が有効になってきます。

批判を言われた時、こんな風に思いながら聴いてみてください。

「父(あるいは母)は、自分にダメだししてるのかもな。」
「自分のことを、わかってほしい、助けてほしい、愛してほしい、と思ってるのかもな」
「なのに、こんな形でしか表現できないのかもしれないな。」

そう思うと、受け止めやすくなります。
そして、小さなことでもいいので、親御さんが喜ぶことをしてあげる。
母の日、父の日、誕生日に、直接会って、プレゼントを渡すとか。
挨拶をきちんとするだけでもいいのです。

さらに、この心理が、親に当てはまるとしたら、それは、自分自身にも当てはまるかもしれません

こんなに親にイライラするということは、自分自身が「わかってほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」と思っているということかもしれないのです。

もし、そうであれば、自分自身が親からの愛情を求めていることになります。

「でも、あの親に私の気持ちをわかってもらえるとは思えない」
そんな気持ちになる方もみえます。

では、どうしたら、この思いを解決することができるのでしょうか。

そのための方法は、まず、「親が自分を受け入れてくれない」ということが苦しみと悲しみを生み、イライラしてしまうのかもしれない、と気づきを持つことです。

そして、先に書かせていただいた、親をわかってあげる、親の喜ぶことをしてあげる。

それをやり続けることで、親の態度が柔らかくなってきたり、話が通じやすくなってくることがあるのですね。

結局のところ、親も自分も、お互いに愛情を持っているからこそ、こんな風に悩んだり苦しんだりするのです。

自分と親との距離や、感情を整理することは、親との関係性を大きく前進させていきます。

(完)

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