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Lecture.664

嫉妬せずにはいられない心理〜自己愛を育みましょうというサイン〜

講師:みずがきひろみ

嫉妬は辛い感情です。相手を「羨ましい」と思うだけではすまずに「妬ましい」、「不幸になればいい」と思ってしまい、そう思う自分にがっかりしては落ち込みます。嫉妬なんかしたくないのに何故嫉妬せずにはいられないのでしょう?それから抜け出す道はないのでしょうか?嫉妬は自分のコンプレックスに注目することで、ことさらに「自分はダメだ」と自分に思い知らせようとする感情です。また相手にも同じように心の痛みを感じてほしいという気持が出てきます。これは分離感が下敷きになっていて、本当は「一緒でいたい」という切ない願望があることを教えてくれます。こんなとき、私たちは自分を好きになれなくて不安でしかたがなくなっています。嫉妬は自己愛が不足気味であることのサイン。ありのままの自分でOKというメッセージを受け取るために自分の方からも動く勇気をもてるといいですね。

Keywords
嫉妬 分離 自己愛 コンプレックス 癒着

◎リクエストを頂きました◎
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私には嫌いなのにどうしても気になってしまう人がいます。彼女は、高校の同窓生で、学生時代から優秀で社会人になってからも国家資格を持ちキャリアを築いています。勉強ばかりでなく遊びもしっかりと楽しむ人で、仲良くなりたかったけれど、嫉妬が邪魔をしてなかなか近づけませんでした。卒業して10年以上たち、違う道を歩んでいるのに気になってしかたがなく、Facebookで接点をもっています。彼女がFacebookに近況をアップするたびに私はコメントを書き込み、彼女もそれに返事はくれるのですが、彼女が私の近況にコメントをすることはありません。私は大学卒業後、アルバイトしかしたことがなく、何をやっても長続きしません。彼女に対して嫉妬心でいっぱいで、心の中では「彼女が不幸になればいいのに」と思ってしまいます。もう本当は嫉妬したくないし、その子のことを忘れたいんですが、こんな状態をやめることはできるでしょうか。
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リクエストをありがとうございました。

本当に嫉妬は辛い感情ですね。何も自分から自分を傷つけるようにして相手と接点をもたなくてもよさそうなのに、つい気になって目が追ってしまい、落ちこむ。相手を「羨ましい」と思うだけではすまずに「妬ましい」、「不幸になればいい」と思ってしまい、そう思う自分にがっかりしては落ち込みます。何故、嫉妬せずにはいられないのでしょう?それから抜け出す道はないのでしょうか?

● 嫉妬の目的

リクエストを下さった方もお気づきのように、私たちはわざわざ自分が嫌な想いをするのを知っていてこういうことをしてしまいます。傷つくことがわかっているのに比べても仕方がないところで自分と誰かを比べては自分に無いものを痛感して落ち込みます。まるで、自分を傷つけたいかのように何度も自分が「ダメ」であることを思い知らせようとします。

私たちが自分と他人を比較するとき、自分の方が勝っていると思う相手と比べることはあまりありません。大概は自分が負けていると感じるところでかなわない相手と比べては「自分はダメ」と決めつけます。つまり、目的は自分にダメ出しをすることそのものにあるようなのです。何故、そんなに自分にダメ出しをしたいのでしょう。

これは私たちの躾のあり方が参考になりそうです。私たちは赤ちゃんのときは生活の全てが親がかりだったのが、2歳をすぎると「自分で」やることを求められるようになり、いわゆる「躾」が始まります。最初のうちこそ「まぁ、自分でごはんを食べられてすごい!」なんて褒められたかもしれませんが、とても多くの方が「そろそろ◯◯ができなきゃダメでしょう!」と叱られたのではないでしょうか。その後も、躾の厳しいご家庭ほど「できなきゃダメ!」と言われることの方が、「できてすごい!」と褒められることよりも多いかもしれませんね。

今でこそ、褒めた方が教育効果は大きいと言われるようになりましたが、理屈の通らない子供を躾けるときに「叱る」ことが大事な場面は多いものです。ダメなものはダメという社会のルールを教え込まなくてはなりませんから。一方、子供にとっては大好きなお父さんやお母さんにダメ出しされるのはとても悲しいので一生懸命にそうならないように頑張りますよね。「ダメ出し」は子供を成長させるための「愛」の言葉だったこともあるんです。傷つきながら頑張ってきたものとしてはなかなかそう受け取るのは難しいですが。

私たちは、自分が欲しいものを持っている人に嫉妬します。その人と比べては自分にダメ出しを繰り返します。もし、「ダメ出し」が自分の欲しいものを自分に持たせようとする「愛」の言葉だとすると、私たちが何度も他人と自分を比べては自分にダメ出しをしているときというのは、「愛」を切望しているときなのかもしれません。嫉妬せずにはいられないと感じるとき、心はもっと「愛」が欲しいと自己愛の補給を訴えていると言えそうです。

● 「一緒でありたい」という願い

嫉妬が募れば、つい相手も不幸になればいいのにと思うこともありますね。自分がこんなにコンプレックスを感じて辛い気持になっているのだから、相手にも同じように辛さや悲しみ、理不尽さを感じて欲しいという想いで、「同じ気持を感じてほしい」「一緒でありたい」という切ない願いのようなものでもあります。一緒でなければ「自分」が生きていけるかどうか不安で怖くてしかたがないというような、まるで小さな赤ちゃんがお母さんから引き離されたときに必死に泣き叫ぶような悲痛な「分離」の痛みが顔を出すかのようです。こういうときは心がもっと「安心感」が欲しいと訴えているように聞こえます。

● 自己愛を補給するためにできること

もっと「愛」を感じたい。もっと「安心」したい。ありのままの自分でいいと思いたい。嫉妬はそんな心を激しく訴える感情です。逆に言えば、何かにつけてやきもちをやいてしまうときというのは、自己愛(ありのままの自分でOKと思う気持)が足りていなくてそれをうまく他人からも補給できていませんよ、という心のサインです。車がガス欠になったときにガスを補給するように、私たちも自己愛を応援する必要があります。もし、複数のお友達に「ピンチです。私のいいところを教えていただけますか?」のメールを送ることができればベストです。人は、思っていても普段はなかなか褒めないものですが、こんなときにこそそんなホンネを聞かせてもらいましょう。それができにくいならば、生活の中でこまめに意識して「ありがとう」と言ってみましょう。不思議なもので、感謝の気持を伝えると、相手も思い出したかのようにあなたのおかげで助かったことを教えてくれて、いつものあなたがそのままでOKなのだということが思いがけないところでわかりホッとすることがあります。

(完)

関連する講座へのリンク集
22  嫉妬の心理学
273-1 パートナーシップと嫉妬の心理学(1)〜嫉妬がおこるわけ〜
273-4 パートナーシップと嫉妬の心理学(4)〜嫉妬体質からの脱却〜
455 妬み・嫉妬の下には痛みがある〜自分の痛みを優しく扱ってあげよう〜
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