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Lecture.555-3

信頼の心理学(3)〜自己成長と自信〜

講師:根本裕幸

信頼を学ぶためには自己成長、成熟さが必要であることを気づいたとき、私たちは内なるコンプレックスに目を向けざるを得なくなります。なぜかというと、問題が起きるのは私たちの心の痛い部分、つまり、傷があり、コンプレックスがある場所だからなのです。
そこでコンプレックスを癒していくシンプルな方法を紹介すると同時に、主体性を持ってありのままの自分を認めていくアプローチをご紹介します。

Keywords
信頼 自己成長 コンプレックス 自己承認 主体性


信頼へのプロセスにおいて、自分自身の成熟性や成長が求められることが分かってきました。
依存でも、自立でもなく、相互依存的な関係性(win-winの関係)を築くために内なる自分と向き合っていくことにしましょう。

○信頼と自己成長について

自己成長のためには、あなたが問題によって気づかされたウイークポイント、すなわち、コンプレックスと向き合っていくことも大切なアプローチです。

さて、そもそも“傷つく”というのは、あなたが自分自身を責めている(コンプレックスに感じている)ときに起こるものだとご存知でしょうか?

もし、あなたが女性として自分に自信がもてないとすれば、浮気をされたときに「やはり自分が自分で否定しているように、相手も私を否定するんだ」と傷つくわけです。
反対に、あなたが女性としての自分に自信がもてているのであれば、浮気されたときに全く違った反応を示すことが想像できるでしょうか?

実例をひとつ紹介します。1回目の浮気で傷つきつつも、その後、立ち上がり、自分に自信を持てるようになった奥さんが、2回目の浮気の際にまったく違った反応を示されました。

それは、全く取り乱すことなく、毅然と彼に「私をとるか、その女性を取るか、1週間後に決めて結論を教えてください。」と言えたのです。
彼は「ほんとうはお前とやっていきたいのに、またバカなことをした」と言って謝っているのに、敢えて、突き放し、1週間という猶予を与えたんですね。
以前の彼女であれば、「お前とやっていきたい」と言われたら、いやいやながらも受け入れてしまったり、浮気の再発に絶望し、泣き崩れる日々だったかもしれません。
でも、成長した分だけ、きちんと彼に考える時間を与えることができたのです。そのため、彼は自分の甘さを噛み締め、自分のしたことをしっかりと考えることができたそうです。

彼女とすれば、2回目の浮気がショックでないわけではありません(だって頑張って立ち直ってきた矢先ですからね)。
でも、以前とは違い、地に足が着いていたこと、そして、女性としての自信もあったために、その怖れや痛みを越えて、彼と向き合うことができたのです。
その結果が、悪いものであるはずがありません。

「私たちが絆を深めるには2回の浮気が必要だったんだろうと思います。」ときらきらした目で語っていらっしゃいました。

さて、では、自己成長するためにそのコンプレックスを解消するにはどうしたらいいのでしょうか?

カウンセリング/セラピーな王道は、その自信を失うきっかけと向き合い、自分を癒していくことになります。
家族関係や過去の恋愛、人間関係を見つめなおし、そこで生まれた痛みを解消していくんですね。
でも、これはとても専門的なアプローチ。シンプルに、かつ、簡単な(だけど、ちょっと抵抗を感じる)方法をご紹介します。

それは、“自分のその弱さを誰かに表現していくこと”です。
友人、パートナー、家族、カウンセラー。誰でも構いません。
自分の弱さを表現することは、自立的な方にとってはとても勇気の要ることですよね。
「弱みは見せるな」が鉄則だという方もいらっしゃるでしょう。
でも、問題(この場合は“コンプレックス”)というのは、オープンになってしまうと、それだけで不思議と解決する場合が多いんです。

「世界で一番自分のことを嫌っているのは自分自身」という言葉があります。
コンプレックスを責めているうちに、必要以上にそのコンプレックスが増幅され、酷くなり、重たく、痛いものになっていきます。それをシェアするということは、自分ひとりで抱えるのではなく、周りと共に持ち合うことであり、心の負担は一気に軽くなることが多いのです。

だから、コンプレックスを解消する、というよりも、オープンにすることをお勧めしたいんですね。
そして、これこそが、信頼の実習にもなるんです。

だって、そんな恥ずかしい話、プライドに触る話を人にするんですよ。
その相手を信頼していなければ、とてもできませんよね。
だから、自分の弱さをオープンにしていくことは、コンプレックスの解消と信頼を同時に達成することになります。

こうしたアプローチは心の根っこの部分に作用するので、残念ながら少し時間はかかります。しかし、気が付けば「そんなコンプレックスを抱いていた」ことを忘れるくらいにはなるのです。

私達のコンプレックスは、オープンにすると自然と雪解けが始まります。
勇気を出しての一歩、踏み出してみませんか。

○自分を信頼する、すなわち、自信を持つ、ということ。

さて、信頼を学ぶためには、まず、自分を信頼することなんですが、「それが難しいのよ!!!」と思われる方、多いと思います!
自分を信頼する方法には心理学ワークショップなどのテーマになるくらい重要なものですから。

しかし、どんな方でも今すぐに自信を持つこと(自信を持つことを許すこと)は可能だと思うのです。

それは少し見方を変えるだけなんです。

それは、今のあなたをありのまま、承認してあげること。

自分を惑わすエゴの声に流されることなく、自分が今、自分なりにベストを尽くしていること、完璧ではないけれど良心に従って生きていること、人に対して誠実であろうとしていることなど、今のあなたが持っている素晴らしさに目を向けることなのです。

しかし、私達は罪悪感や無価値感、無力感等、様々な真実でない感情によって支配され、その結果、“敢えて”ネガティブな状態を見せ付けられているのです。

そうして「〜ができていない」「〜が足りない」「○○ちゃんの方がよくできている」と比較する方向を見てしまうのです。

でも、本当は「その見方は間違っている!私はベストを尽くしてるよ!」と、選択してもいいのです。
そんなの傲慢では?思い込みじゃないの?そんなこと言ってたら成長しないよ!人から変な目で見られるよ!等々のエゴの声に惑わされないで下さいね。

『私なりに今、ベストを尽くして一生懸命、生きている。そうではないと語りかける内なる声は私の怖れが作り出した幻想に過ぎない。私はもう怖れを選ぶことはやめる。私は自分を承認するに値するだけのことをよくやってきた。』

もし良かったら、幾度ととなく、この言葉を自分に言ってあげてみませんか?
心が暴れるかも知れませんが、心の深い部分に安らぎを感じられるようになっていくと思います。
(できれば、その安らぎを感じられるまで何度もこの言葉を繰り返していただけると嬉しいです。)

カウンセリングでも、できる限り、お会いしてから現在までに見つけた、その方の“価値”や“魅力”の線からアプローチしていきます。
初めての方でもお会いすれば長所や魅力がいくつも見えてきます。

また、何度も繰り返しご利用してくださる方には、実際に生のプロセスに触れさせて頂いているわけです。
そうすると、昔話さらなら、その期間の変化や成長をお伝えできますよね。そして、「もっと自分を信じてあげてくださいね」なんて伝えるでしょう。

そうして、自分を信頼できたとすれば、同じレベルで相手の価値や魅力を対等に見ていくことが出来ます。

そうすると「浮気」などの被害者の立場であったとしても、自分なりに今まで頑張ってきたことを承認することができ、毅然とした態度を取り易くなるばかりか、相手の気持ちにまで踏み込んで理解、受容することができるのです。
このレベルにまで達すると、最早、浮気をされた、リストラをされた、という恨み辛みや被害者意識は相当薄くなり、むしろ、前向きに問題を捉えられるようになっているでしょう。

人生の主人公は自分なんですよね。
だから、主体的に生きるためにも、今の自分を認めてあげて欲しい、と思うのです。

さて、そこで次回、最終回はより深いレベルの信頼について学んでいきたいと思います。
通常では、なかなか受容しづらい要素についてご紹介していきます。

>>『信頼の心理学(4)〜強さ、そして、プロセスへの信頼〜』につづく

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123.コンプレックスの心理〜劣等感と自己嫌悪〜
235.何もできない自分を許す〜自分を責めるよりも偉大なこと
255.隣の芝生は常に青いもの〜比較の罠と自己承認〜
283-4.自分を変えたい(4)〜自己受容・自己承認へのアプローチ〜
398-1.アカウンタビリティ(責任の概念)(1)〜アカウンタビリティとは?〜
423.問題解決の出口に向けて〜プロセスを見直してみよう〜

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