「横のつながり」が職場を助ける

●職場のストレスの第1位は人間関係

カウンセリングで「仕事」に関する相談の中でもっとも多いのは、キャリア形成でも業務上のミスや失敗でもなく、職場の人間関係です。
事実、転職の1番の理由は「キャリアアップ」とされていますが、本音の部分では「上司との人間関係
」がTOPにあげられるというデータまであるようです。
上司との折り合いが悪い、苦手な同僚がいる、輪の中に馴染めない・・・などなど。
私達にとって仕事内容うんぬんよりも、「直属の上司との関係」の方が仕事への充実感を左右したり、「同僚との繋がり」の方が仕事へのやりがいを左右したり、「チームとしての満足感」が生産性を左右したりしているのです。

不況の折のやむ終えないリストラであればまだしも、せっかく育った有能な人材が会社から流出してしまい、また新しい人を採用し一から教育する。というのはコストも手間もかかります。
「人間関係」と一口にいっても、実際には人と人との相性や、その場面ごとの対応方法など、実際の問題となりうる要因を探していけば職場にいる人数分だけ見つかってしまうかもしれません。
では、その中で”チーム”として人と人とを結びつけ、従業員満足に繋がるアイテムは無いのでしょうか?

●チームとして機能する

とあるクレジットカード会社で「褒めあいカード」という社内ルールを設けて、月1枚は従業員同士がお互いの良いところをカードに書き、共用のボードに貼りお互いを承認するという事が実施されています。

この会社では正社員・契約社員・アルバイトと立場の違う従業員が混在してカウンター業務を行っているが、従業員同士の横の繋がりが希薄な為、「これは私の仕事ではない」とお互いに仕事をフォローしあう習慣がなく、1人1人が孤立して個人で作業してしまっていたようです。
その為、この職場では元々離職率が高く、少しでも定着率をよくするために「褒めあいボード」が導入されました。

「荷物を床に置こうとしたお客様に、すぐ椅子を用意。素晴らしいです」
「観葉植物のホコリを払っていましたね。さすがです。」
そんな内容が褒めあいボードに貼られていくのです。

カードを書く為に、誰かを褒める材料を探そうという意識でお互いを見る。
  ↓
お互いを意識し、理解しあうようになる。
  ↓
職場に一体感が生まれて助け合いが当たり前になったり、お互いに援助を求めやすくなる。
  ↓
結果として、離職率が半分になった。

●”承認”は金銭的報酬と同等の喜び

褒めることの大切さはよく知られていますが、そこには科学的な根拠もあります。

私たちが働く中で、1番の労いや成功のシンボルとなるのは給与や賞与などの金銭的報酬です。
給与が上がれば「自分は頑張った!認められた!」と自分自身を誇らしく思いますし、逆に仕事内容に比べ給与が低いと不満感や不足感を抱かせます。

その金銭的報酬を得た時に私達に脳の活動がどうなっているのか?をMRI画像で研究した実験があり、脳内の線条体という部分の活動が活発になっている事が分かりました。
しかし金銭でなくても、「信頼できる」などと他人から評価されることも脳は”報酬”と認識して、金銭的報酬を得た時と同様に線条体の活動が活発になることが確認されたのです。
お金も、他人から承認されることも、脳内の認識では同じなのです。

集団生活を送る私達人間にとって、他人からの”承認”が何よりもご褒美になると言えるのかもしれません。
そしてお互いがこの”承認”というご褒美で繋がり始めたときに、職場の人間関係の問題は軽減されている事でしょう。
まずは、あなたの近くの人から「褒めあい」をスタートさせてみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いたカウンセラー

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恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。