ビジネスシーンで相手をほめてみよう

私たちカウンセラーは、ご相談下さるクライアントさんの長所や価値を見るように、育成過程で訓練しています。そのため、カウンセラーは、初めてご相談下さったクライアントさんであっても、すぐに長所や価値をお伝えすることがあります。「カウンセラーだから、そんなにほめるんですよね」と言われることもありますが、少なくとも私は、いままでに一回も「ウソ」をついたことがありません。それは、「ウソ」をつく必要がないからなんですね。

どういうことかといいますと、クライアントさんは、100%の確率で、必ず様々な長所や価値をお持ちだからです。もし、ほめた言葉がウソだったとしたら、心理的には、ウソをついた、という罪悪感が残るでしょう。しかし、ウソをつく必要がないため、本音だけを言えばいいので、たくさんカウンセリングが出来るのです。

とはいっても、カウンセリングではない一般の人間関係では、相手をほめる、というのはあまりしませんよね。女性は、友達同士などでほめることもあると思いますが、男性はなかなかほめるということはしないと思います。

私自身も、カウンセリングを学ぶ前までは、相手をほめるということはほとんどなかったと思います。また、ほめられたという経験も、あまりなかった気がします。

特に、ビジネスシーンでは、ほめる、ほめられるというのは、そうそうあるものではないと思います。なにかをしてもらって「ありがとう」と言う、つまり感謝する、されるというのは良くあると思いますが、ほめることはあまりしないと思います。

さて、私大塚は、カウンセラーと並行して自営業もしています。自営業はもう15年ほどしていますのでカウンセラーより経験が長いですが、カウンセリングを学んでからは、私は、自営業での顧客との接し方を少しだけ変えてみたのです。

なにを変えたかといいますと、そうです、「相手をほめる」ということを、自分の発言の中に取り入れてみたのです。

もちろん、カウンセラーとしてクライアントさんをほめるように、初めて会った人をいきなりほめるとか、同時にいくつもほめるとかはしません。仮にウソではなかったとしても、相手はほめられることに慣れていない可能性が高いわけですから、あまりにやりすぎると不自然になってしまいますよね。

私は、ほめてもいいタイミングが来たら、「意識して」、相手を少しだけほめるようにしています。しかし、ほめる、ほめられる、ということがほとんどないビジネスシーンでは、私が少し相手をほめると、ものすごく相手の心に響くのです。

日本人は謙虚なので、私がほめても、「いやいや、私はたいしたことないですよ」という感じで、私のほめ言葉を否定する方もいます。しかし、ほめられてうれしくない方はまずいないと思います。

もちろん、私のほめ言葉を、うれしそうに「ありがとうございます」と受け取って下さる方もいます。いずれにしても、ほめるという状況に慣れていないせいか、その場の打ち合わせの雰囲気が変わるのです。

例えば、私と、企業の課長さんと、その部下の3人で打ち合わせをしていたとします。そして、打ち合わせの中で、私が部下をほめたとします。そうすると、部下の方だけではなく、課長さんも笑顔になったりすることがあるのです。

ほめただけで仕事が取れた、というような、わかりやすい効果が出るわけではありませんが、顧客との良好な関係を作っていくにはとても有効で、間接的には営業成績にも結び付いている気がします。

さて、それでは、「ほめ上手」になるにはどうしたらいいのでしょうか。上述の通り、いつでも、なんでもかんでもほめればいいわけではなく、やり方を間違えると、かえって不自然になってしまうこともあります。どうしたら、自然にほめることができるようになるのでしょうか。

私のように心理学やカウンセリングを学ぶという方法もありますが、時間もお金もかかってしまいますよね。

ものごとは何でも、普段練習していないのに、本番でいきなりできるものではありませんよね。ですから、ほめ上手になるには、普段から「ほめるクセ」を付けておけばよいわけです。しかし、相手を不自然にほめることもできない。

どうしたらいいでしょうか。私のお勧めは、

「まず、自分自身をほめてみる」

ということです。自分自身ですから、どんなにほめても、どんなに不自然でも、悪影響が出ることはありませんよね。

どんなことでもいいです。ささいなことでもいいです。まずは、自分自身をほめてみてほしいのです。

例えば、「今日も会社に間に合うようにしっかりと起きれた。私は偉い」、とか、「今週も私は休まず会社に行けた。私は偉い」という感じの、あたりまえのようなことでもいいのです。

慣れてきたら、彼、彼女や夫婦間など、理解ある相手をほめてみてもいいでしょう。そして、相手からもほめてもらってください。だんだんと、自然にほめ上手になっていくと思いますよ。

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この記事を書いたカウンセラー