主体性のある部下の育て方(3)~主体性を身につけるトレーニング~

あなたの近くに、こんな人はいないでしょうか?・言われたことしかできない。
・指示されたことについて、指示された通りにしか動けない。
・応用力がないので、ちょっとした変化に対応できない。
・「なんで私がこんなこと・・・」と愚痴や不満ばかり言う。
・何かを聞かれたり、決断を迫られると「なんでもいい」と答える。
・誰かと自分を比較して、相手に嫉妬したり攻撃したりする。実はこれは「主体性」のない人の特徴なのです。前回からお届けしている本シリーズ「主体性のある部下の育て方」は、

どうすれば「指示待ちくん」「マニュアルくん」から脱却し、自ら考え、行動できる力をつけていけるようになるのか?

についてのお話です。

●これまでのおさらい
第1回:主体性と自主性の違い
「主体性」と「自主性」はとても似た言葉で、「自分で判断し動ける」という点では両方とも同じです。
両方とも私達にとって大切なスキルなのですが、ある点で「主体性」と「自主性」には決定的な違いがあり、その”違い”についてお話しています。

第2回:どうして「主体性」がなくなるのか?
みんながみんな、「自分で考え、判断し、行動でき、そしてそれがまた自信になり、やりがいを感じる。」という好循環になれば、それはとてもいいことなのかもしれません。
しかし、「指示待ちくん」や「マニュアルくん」という、主体性がなくなるのにも、理由があるのです。というお話。

●上司のあなたができること

第2回目のお話の最後に、『主体性がある人は「意思の力」が強い』ということを書きました。
その「意思の力」を身につけるのは何も難しいことではなく、実はとっても小さな、日常レベルの積み重ねです。

ポイントは
「把握する」→「決断する」→「行動する」の3ステップ

この3ステップを繰り返し行うことで、「意志の力」が育ち、主体性を身につけていくことができます。

そして、それはビジネスの世界でも同じこと。
上司として、リーダーとして、あなたが「主体性のある部下(後輩)」を育てるならば、上記の3ステップを業務を通じて体験を積ませてあげることができれば、良いわけです。

<主体性のある部下を育てる3ステップ>

・把握する:仕事の「流れ・全体像」を教える

・決断する:自分の役割を理解し「考える力」を育てる

・行動する;フォローしながらも、「仕事を任せる」

●仕事の「流れ・全体像」を教える

「指示待ちくん」「マニュアルくん」は、多くの場合、与えられた仕事や、指示を受けた範囲内のことしか視野になく、業務の「流れ」や「全体像」が見えていません。

その為、本人も「次に何をすべきか?」「優先度はどうか?」がわからないため、指示を受けた1つの作業が終われば、また次の指示を待ってしまったり、イレギュラーなことが怒った時に、どう対象すべきか?が分からない、ということが起こりやすくなります。

主体性のある部下を育てる為には、まずは「業務の流れ」を丁寧に教えるといいでしょう。
各作業のやり方や、作業時間の目安、作業終了後の報告の仕方など、最初であればあるほど、こんなことまで?と思う当たり前で、基本的ことも教えるのが鍵です。

例えば、製造ラインであれば、自身の担当の工程・作業内容だけでなく、製品が自身の担当作業に来るまで、そしてその後製品が完成するまでの全工程を把握させることが大切です
営業であれば、自身が取り扱う製品がどのように作られ、そしてお客様の手元に届くのか?(活用されるのか?)を把握し、イメージできるようにしておくのもいいでしょう。

そのように、自身の関わる「仕事の流れ・全体像」を教えることにより、部下は自分が完了した仕事の”次”に何が待っているのか?を考えることができるようになります。
また、何かイレギュラーなことが起きたときにも、この「仕事の流れ・全体像」から、答えを導きやすくなります。

●自分の役割を理解し「考える力」を育てる

上記の「仕事の流れ・全体像」を部下が把握できるだけでも、ぐっと、「自分で考える力」が身につきますが、さらにその力を伸ばす為に、
「どうすればいいですか?」と質問された場合に、
「君はどうすべきだと思うか?」「どうしたいと考えているのか?」
を聞いてみましょう。

毎回上司がそのように自分に質問をしてくるとなると、部下も上司に指示を仰ぐ時、上司に相談する時に、
「次は○○をしたらいいでしょうか?」
「今回は××の対応をしたいのですが、よろしいですか?」
と、自分なりの答えを用意する必要にせまられますので、
「どうすればいいですか?」の質問の前に、自分なりに「考える」とう作業を行うようになるでしょう・。

自身の業務を把握し、その中での自分の役割を理解して仕事をする。
とても基本的なことですが、その基本姿勢を部下自身が意識できるようになると、部下の「考える力」はぐっと成長し、主体性を育てることができます。

●フォローしながらも、「仕事を任せる」

言われた仕事をするだけでは、人は成長しません。
誰かの補佐(サポート)をするだけでは、人は成長しません。
無責任に作業をこなせばいいだけ、という環境では、私達は「主体性」が発揮できないのです。
その為、「指示待ちくん」「マニュアルくん」から抜け出す為には、責任のある仕事を任せる、というのも効果的です。

責任のある仕事を任せられると、私達はその仕事に緊張感をもって作業し、また失敗しないようにといろいろと思考を働かせながら業務に取り組むことになります。
無責任に作業をこなす、というのとは異なり、ミスがあると自身が責任を負う立場になるので、そうならないように仕事の流れを何度もシミュレートし、スムーズにすすめていくために優先度を決めたり、「こうなった時にはこうしよう」といくつかの対応策を練る、という風に、責任感と主体性をもって、仕事に取り組むようになることでしょう。

そこでは上司のあなたが「ここまではフォローするが、ここからは部下に任せる」と線引を加減しながら、部下の成長できるように導き続けて下さい。
「任せる」と「丸投げして知らん顔する」は異なりますので、見守り続ける、というスタ
ンスが必要です。

部下が失敗しそうな時、壁にぶつかっている時には、代わりに全てをあなたが対応する形でのフォローではなく、
一緒に原因を考え、部下自身から「どのようにしておけばより良かったか?次はどう対応すべきか?」を引き出す形でフォローしてあげると、より部下の「考える力」を育て、主体性をのばすことに繋がります。

私達は多くの場合、その業務に関して経験値を積むことで、段々と指示を受けずに仕事に取り組むようになるのが一般的です。
しかし、それでも指示がないとなかなか動けない、イレギュラーなことに弱い、という人は少なからず存在します。

今回の「主体性のある部下の育て方」シリーズを通して紹介した方法が、あなたの部下の主体性を引き出す指導の参考になれば嬉しいです。

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。