自分の歴史 ~これからを生きるために~

少し前に、「自分史」なるものを書くことが流行りました。
「自分史の書き方教室」なるものが現れ、定年退職後で比較的ご高齢の方の
間で、話題になったように記憶しています。
当時、あまり気にも留めなかったのですが、最近、気になり始めています。


私たちの一般的な成長のモデルとしては、10代の場合にはまだまだ未来は
これから、夢でいっぱいですよね。
20代は少しずつ自分の思いが形になりつつあり、そうでなかったとしても、
未来は手のなかにあると感じるでしょう。
30代は、20代ほど若くもなく、40代ほどあきらめられず、一番ドロドロした
年代といわれます。
そして、40代からは……。
私は、40歳以降は、また、新しい人生のような気がするのです。
30代までの間で、わたしたちはもがいたり、先鋭的な成功を経験したり、
バーンアウトしたり、ある程度の、ひととおりの体験をするのではないで
しょうか。
家庭を持って、子供を持ち、社会でもある程度の「自分」というものを
浮き彫りにしてきました。
そして、40歳を過ぎる今は、何かすがすがしい午前中の空気のような。
まあ、端的に言えば、中年期といいましょうか、年をとっただけなのです
けれど。
それまでは、未来や将来しか見てこなかったのが、今までの人生を
振り返ってみるゆとりがあるような気がするのです。
ここで、日本生まれの日本人のあなたに質問します。
(それ以外の方は、それぞれに合わせて質問を変えてください)
あなたは、日本語会話教室に行った経験はお持ちですか?
「は?」
と思われたでしょうか。
普通は行かないですよね。
英会話は行くかもしれませんが、なぜ、私たちは日本語会話教室には
行かなかったのでしょうか。
それは、あなたの周りが、とりわけご両親が日本語を話していたからですね。
わたしたちは、両親を「まねた」のです。
まねたのは、日本語だけでしょうか?
違いますよね。
考え方、立ち居振る舞い、長所も欠点も、子供は実にさまざまなものを
見ては、親から吸収します。
あなたが今、当たり前だと思っていることも、知らないうちに、生家での
暗黙のルールだったのかもしれません。
もしかしたら、ご両親のどちらか、あるいは両方の観念から来ているのかも
しれませんが、あまりにも当たり前だと思って育っているので、そのことに
気づくことができません。
40歳になれば、ほとんどの方が結婚をしてお子さんを持っていらっしゃると
思います。
新しい家庭では、おどろきの連続ではありませんでしたか。
ありえないことが、あなたのパートナーによってなされたり、発言されたり
しませんでしたか。
子供も、自分の嫌なところをコピーしていたり、思いもかけない発想を
ぶちかましたり。
結婚していない方も、恋愛経験や社会人生活から、あてはまることはないで
しょうか。
私たちは、当たり前のことは気に留めません。
自分の歴史、つまり自分の生まれたときのできごとや子供時代のエピソード
を、もう一度、自分の中でまとめてみることは、その当たり前に、あえて
気をとめて、気づくことができると思うのです。
知らなかった、新しい自分と出会うことができるのではないでしょうか。
子供時代は、子供の目線でしか社会を見ません。
子供の思考の特徴は、all or noneで、極端なのです。
あるか、ないか。
欲しいかいらないか。
いいか悪いか。
年齢が低いほど、まあまあ、とか、半々、どっちもどっち、というような
グレーゾーンがないのです。
その、子供目線の社会を、今の大人目線で見直したとき、あなたの目には
どんな世界が広がるでしょうか。
子供の心を持ちながら、大人の叡智でものごとを捕らえたとき。
当たり前だと思っていた世界は、どんな精彩をもって、あなたの心に流れて
くるのでしょうか。
子供の手が離れつつあり、社会での立場もある程度確立されてきた私たちは、
ひと段落ついたものとして、今まで以上に、ゆとりを持った未来があるで
しょう。
その、第一歩のために、あえて自分の歴史を顧みてはいかがでしょうか。
ちなみに、私の出生時は予定よりも数日遅れたため、前日から準備万端も
できたし、日曜日だったので父も一緒に病院に行ったそうです。
今まで、私は、自然分娩で生まれたと思っていました。
ところが、母にいきみの力が少なかったのか、私の根性が足りなかったのか、
なかなか出てこなかったようで、なんと、あのトイレのつまりをベッコン
するようなゴムで、頭をひっぱったというのです!!!!
(もちろん、トイレのものではなく、それ専用のものだと思います!!! 
そう信じています!!!)
人生生まれて初めて、ワタクシの頭上に触れたのは、ベッコンベッコン(のよ
うなもの)だったのです!!!
がああああ~ん。
ベッコン姫デシタカ。
ショックではありましたが、この話を聞く前よりも、自分の出生がいとおし
くなりました。
ノーマルな出産よりハクがある気がするし(?!)、何よりもウンがよさそうで
はないですか!!!
心温まるエピソードもありますが、やがて成長とともに葛藤や摩擦も出て
きます。
そのことを思いめぐらし、今の大人の私だったら、どんなふうに当時の私を
受け止め、どんな言葉をかけるのだろう、と。
私の態度はどんなふうに周囲の目に映ったのだろう、と。
完璧ではない、私の人生。
どっちかというと、コミカルな人生。
愛すべき、私の人生。
自分の歴史を振り返ってみると、意外なものが見えてくるかもしれません。
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