才能を発揮すると言うこと~母の決断から教わったもの~

去年の年末、母の営む居酒屋が閉店することとなった
亡くなった父の長年の夢だった「もう一度自分の店を持ちたい」
その夢が形となったお店だった。
土地の持ち主の方が、立ち退きを要請されていて
その場所を借りた当初から、それも含めてのお商売だった。
10年前このお店を開店した当初。
亡くなった父は60歳。母は55歳。
7人兄弟の末っ子で、おぼっちゃま気分の抜けきらないまま
大人になったような父は、
どこか現実を構築することが苦手だった。


そんな父に痺れを切らし
当時、母が「じゃ!私が全部やる!」と言い出し。
企画書を書き、国民金融公庫への資金の借り入れ申請をする
55歳の年齢から400万円の借り入れを申し出る
思い切り振りのすばらしさ。母はすごい。
店舗の契約・内装準備・メニュー設定・その他もろもろの交渉ごとを
ほぼ一人でまとめ上げ、父へ「はい♪」と
ハートマーク付でプレゼントしたようなそんなお店だった。
父の為もあったかもしれないが、父への「私、やるでしょ?」と言う
誇示の心も多少はあったのだろうと思う。
私が小さいころには、自分で人生を切り開くことなど出来ないと
お父さんが全て悪いと、あきらめていた母だったのに・・・・
良い意味で見る影もなかった(笑)
父は、それを素直に受け取り、「お母さんはすごい」と
ずっと、話していた。
愛されキャラだった父は、のんびりと仕事をし、お店のマスコット的存在で
来店するお客さんと話し、よろこび嬉しそうだった。
店舗を開店してから3年後。
父が突然の急病にて他界。夏風邪の高熱であっさりと逝ってしまった父
父が亡くなってしまった後にも、母は一人でそのお店を切り盛りしていた。
いつの間にか、10年の年月が過ぎ、立ち退きもあったのだが
母も65歳となりお店を終わらせることとなった。
農家の娘として生まれた母は
働いていて当たり前のような環境の中で
人生を過ごしてきた。
心理学で言う「無価値感」といわれるものを
本当に深いところでこびりつかせてきたような人だった。
農家の娘で生まれてきたので、母の育った時代は
まだまだ、男の子がえらく。
女性はさげすまれていると言う環境の中育った。
働いていないと自分には価値が無い。
働き手として、せめて少しでも家の役に立つことが
母のあり方であったのだろうと思う。
そうしなければ、生きていくこともままならなかったのだろう。
元には芯の強さ・情熱を持ち生きていた母は
自分の人生を変えたいと思っていたのだろうか?
農家の娘が、商売人の嫁になるとは
とても勇気が要ったことだろうと思う。
遊び人で賑やか好き。おぼっちゃま気質で、人がいいのだが
色男、金と力は無かりけり・・・の典型のような父
「ゆるい」タイプの父へ嫁いだ母は
いろんな葛藤を抱えていたのでは無いか?と思う。
だって、農家では、男子は偉くて、家長で逆らってはいけなくて!
って育ってきたのだから、父がいくら出来ない人でも
逆らいもせず、ついていくのが美学だと
母は思い生きてきたのだろうと察する。
しかしながら、その本来の情熱を押さえつけてきた分
それは、ヒステリックな形となって
私たち子どもに向けられ、多大な被害をこうむった事も
事実であったりするのだけど・・・
才能もある。実力もある。才気もある。実行力もある
そんな母は、ずっと自分の才能を抑えつけ生きてきたんだろう。
だけど、このお店を持つとき。
「私がやる!」って言った母は、
自分の人生で、初めて自分の才能を発揮できた
瞬間だったのかもしれない。
そこには、「男性に逆らってはいけない」と言う
遠い昔からの慣習である「縛り」を超えることとなるから
とんでもないタブーを犯す感覚だっただろうと思う。
怖かっただろうと思う
しかし、恐れを超えやりぬいた母は
父の賞賛と、お客様からの報酬と笑顔を手にしたのである。
自分の中の「こうあるべき」と言われる「観念」
年を追うごとに、それを手放す恐れは大きくなるのだろうけど
でも、年をとっても手放せば、すばらしいものが手に入る
人生やり直すのに、遅いことなど何も無い。
そんなことを、母の背中は教えてくれる。
それを見て、すごいなぁ~と思える私も
この年齢になり、チャレンジすることの怖さを
身をもってわかるようになってきたからだと思う
お店をしまい、老け込むのでは?と懸念した母だが
仕事を持つ妹たちのサポートに明け暮れる。
それぞれの、幼い3人づつの子どもたち
合計6人の孫たちが、おばあちゃんをそっとしてくれない。
ありがたいことに、今日も元気にパワフルに
おばあちゃん業をこなしているらしい。
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