ヴィジョンという生き方

私の周りの中年・熟年層はとてもエネルギッシュです。
いろんなことにチャレンジしたり、人生を楽しむエキスパートが多く、
とてもステキなんです。
そう思いながらも、ふと、自分の人生をふり返って感じることがあり
ました。
漫然と年を重ねてきたようで、いろんな経験をしていること。
そして、自分が望んだことの大半がかなっていることにも気づくので
す。


「40代からの心理学」をご覧になっているみなさんも、ご自分をふり
返ったとき、意外と自分の望んだことがかなっていることに気づかれ
るのではないでしょうか。
自分が入りたい学校に行く、会社に行く、自分がなりたかった職業に
就く、お付き合いをする、結婚をする、子供を持ち、育てる……。
ひとにより、具体的な内容に違いはあると思いますが、かなりの確立
で自分が望んだことは手に入っているのではないでしょうか。
欲しいものを手に入れる、ということについては、年齢を重ねるごと
に、経験も深まり、よりたやすくなっていくように感じられます。
だから、貪欲に、さらに欲しいものに向かって進んでいる方もいらっ
しゃるかもしれませんね。
人生の若いうちや、ものごとの初めというときには、「目標」というも
のが自分にとっての目指すものになるようです。
「〜になる」、英語で言えばbecome(becoming)という表現だと分かり
やすいかもしれませんね。
例えば、デザイナーになる、先生になる、この資格をとる、といった
感じです。
人生にレッスンがあるのなら、これは初級の問題かもしれません。
なぜなら、なってしまったら、それで終わり、だからです。
次の段階があるのだとしたら、それは、手に入ったあと、よりそのこ
とに精通したり、深めたり、エキスパートになっていくための、「ヴィ
ジョン」というものが必要になってくるようです。
分かりやすくいえば、「〜である」、be(being)ということ。
自分自身が、どのように存在するか、どうあるか、ということです。
例えば、美容師になったとして、美容師として、自分はどのように存
在するか、ということです。
子供を持ったなら、父として、母として、どのようにあるか、という
こと。
これは、なってしまえば終わりというわけではなく、続いていきます。
ともすると、どこまで続くか見えなくなり、逃げたくなったり、やめ
たくなったり、不安になったりもします。
継続していくためには、そのことをしっかり見つめる成熟さ、自分を
受け入れられる深い度量、起こっている出来事に立ち向かう強さが必
要になります。
ゴールは初めからは見えません。
なぜなら、自分の意思だけでなく、周りとの調和によってもたらされ
るものであり、さまざまな要因が重なって、やがて、示されてくるも
のだからです。
いうなれば、最初に思い描いていたものとは変わる、といったほうが
いいでしょうか。
それは、自分の想像よりも、もっと広がりをもってすばらしいものに
なることが多いようです。
そして、その道程そのものがゴールでもあるのです。
誰もが、子供として、社会人として、親として、その他さまざまなも
のとして存在している、ということは、もうすでに、いつかどこかで、
経験をしているはずなのです。
が、「目標」と「ヴィジョン」の違いを、なかなか意識されることは
ありません。
私たちは、もっといい○○になる、という変化を望んでいますが、
それを別の何かになることと混同しがちです。
私たちは、自分以外の何者にもなれません。
そのことを分かっているはずなのに、気がつくと、違う何かになろう
ともがいてしまうのも、私たちです。
だから、資格を取れば、この学校にいけば、と次々と目標を変えては
達成していきますが、そこで獲られる満足感は、あったとしても非常
に短いものです。
深い満足を得るには、そこで自分がどうあるか、どのように存在して
ゆくのか、を意識したときに起こりうるのです。
それは、太く、強く安定し、じんわりと広がる満足感であり、あまり
劇的に激しいものではないようです。
これからの人生で、より深い円熟味をもたらすために、ぜひ、「目標」
だけではなく、「ヴィジョン」も意識していくことを提案したいと思い
ます。
ものの見方の角度を変えてみるだけのことかもしれません。
が、この違いは、人生や自分自身であることについて、根本から覆す
ほどの充足感をもたらしてくれるものなのです。
これから、ますます輝いていくために。
「自分自身である」ことのエキスパートになっていきませんか。
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