「ほめる」と「I(アイ)メッセージ」〜あなたから実践しよう〜 

若い頃、僕はある宿泊施設で社員さんとして働いてました。宿直夜勤中心のシ
フト制で、アルバイトの若い学生さん達と、たくさんの時間を過ごしました。
彼らから見れば、僕は上司でしたので、仕事中にお客様から呼ばれて困った事
や、わからないことがあれば、こちらで判断して指示し、動いてもらう機会が
多かったです。


当時、縁あって部下としてがんばってくれた、アルバイトの学生さん達。彼ら
の協力なくして、あの頃の僕はありませんでした。当時をふりかえって、もっ
とこんなことができてたらよかったのになあ、ってスキルが一つありました。
それは「ほめる」です。なぜなら、部下の方に自発的な行動を促すモチベーシ
ョンを高められる他に「僕はいつも君の存在に関心を持ってるよ。いつも君を
見てるよ。」ってメッセージを伝えられるからです。
部下の方は上司の方に、自分の存在をいつも認めて欲しいものだと思うのです
ね。何気ない一言の「御苦労様。」でも、「あ、僕(私)のこと見てくれてる
。」って感じるものですよ。
そのように考えると、この「ほめる」スキルがいかに大切かが、おわかりいた
だけると思うのです。
僕も、あの頃は「ありがとう。」「ご苦労さん。」って言うのが苦手でした。
上司として社員の肩書きをハナにかけた時期もあったので。
「いやぁ、私も苦手でしてねぇ。」と、おっしゃるあなた。今からでもOKで
すよ。やってみませんか?
ここからは、ほめる時の伝え方のスキルをお伝えします。それは、大きく2つ
にわけて区別されます。ひとつは「YOUメッセージ」。そしてもうひとつは
「I(アイ)メッセージ」です。
今回おすすめするのは、後者の「Iメッセージ」のほうです。「YOUメッセ
ージ」と比べながら例として御紹介します。
仮に、あるマンション専門のゼネコン会社さんで、用地取得のための「不動産
情報部」という部署があったと思ってみてください。その部署の課長さん、も
しくは部署を預かるチーフの方と、そのもとで働く部下の方を思い浮かべてみ
てください。
ではまず「YOUメッセージ」から。
★YOUメッセージ
相手の方を主語にして、以下のように伝えたとします。
・「君、がんばってるね。」
・「君の集めた不動産情報、最高だね。」
*所属されてる部署によって、この「不動産情報」の部分を「営業実績」とか
「企画・提案」などに、読みかえていただければ、と思います。
★Iメッセージ
こちらは自分を主語にして伝えます。
・「君のがんばりを見てると、僕(私)もはげみになるよ。」
・「君のがんばりを見てると、僕(私)も部署をあずかるチーフとしてがんば
らなくちゃ、って思うよ。」
・「君の集めた不動産情報は最高だと、僕(私)は思う。」
YOUメッセージもIメッセージも、どちらもほめ言葉で、よろこばれる内容
ですが、ここで気をつけてほしいことがあります。先にお伝えした「YOUメ
ッセージ」は、場合によっては不信感や押しつけに感じるケースがあります。
例えば「俺(私)のことをよく知らないのに、何を適当なこと言ってるんだい
!」と思われるケースなど。何らかの事情で、お互いよく知り合ってない場合
には、おこりやすいかと思います。
ところがIメッセージでほめると、そのようなことはおこりにくくなります。
自分を主語にしてほめると、聞き手は「あくまで話し手の意見」として素直に
受け入れられ、押し付けられた気がしないからです。その結果、ほめられた事
を素直に受け入れやすいからです。
また、伝える側も自分の意思を明確にして話す習慣が身につきやすいメリット
があります。その上、上司の方の権威の押しつけ感のような、上意下達の感じ
よりは、同じ目線に立った、対等なフラットな印象や親近感を与えます。なる
べく、普段から相手の方を見てさしあげるようにしてください。
次に気をつけてほしいポイントを御紹介します。
★とってつけたようにほめないで下さい。
心にもないことは、ほめないで下さい。誰にでもやってる、とか、ほめ手の都
合でやってる、と思われるかもしれません。何も感じなければ、ムリにほめな
くていいです。
★他の人と比較する内容は避けましょう。
競争や勝負をあおってる印象を与えたり、目に見えないところで比較されてる
かも、って思わせてしまいます。比較しながらほめるのは、やめましょう。
「ほめる」と「Iメッセージ」。やってみると、初めは恥ずかしかったり、照
れくさかったりするかもしれません。
もし、あなたが誰かから「あっ、よく見ててくれた!」と感じるほめられ方を
したら、どう思いますか?うれしいですよね。そのように考えると、ほめられ
てうれしくない人って、いないんじゃないでしょうか?
自分を主語にして、感じたことを部下の方に伝えてほめる。あなたから実践し
てみませんか?
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