○子供と親・関係の発展

子供との接し方、今、どう関係していけばいいのだろうか?
というご相談はよくあります。
より具体的な事例は今後のテーマにゆだねるとして、今回は、その基礎となる
ように、より一般的な部分で、子供と親の関係がどう発展していくのか?
というところに、子供の幼年時代・思春期・青年時代と3つにわけて着目して
みたいと思います。


「子供はみんな天使みたい」
「本当に罪がないわねぇ」
なんて大人同士の話は、小さなお子さんのいらっしゃるご家庭では、よく見
られる風景ですね。
でも、当の親本人にとってそんな言葉を聴くと、
「こいつがどれだけ怪獣なのか、この人たちはみんな知らないんだ・・・」
と、思ったことはありませんか!?
天使そのものなんだけれど、悪魔にもみえてしまう。
それが子供というもののようです。
「あれもしたい、これもしたい!
 でも、○○ちゃんがもう少し大きくなって、手が離れてから・・・」
というのは、小さなお子さんを持つ、特にお母さんによくある悩みかもしれ
ません。
天使のような笑顔で小悪魔のような悪戯をする子に、徹底的に与えていく。
これが、小さなころの子供への、親の一般的な接し方です。
このころは、子供は一人では生きていけませんから、親はつらくても苦しく
ても、必死に与え続けることになります。
ですが、くたくたになっているところに、ふっと、
「お母さん(お父さん)大好き!」といって肩もみ券をくれたりするのに、
ちょっとほろっときて、むくわれたような気分になる・・・
子供の幼年時代は、親は、与えることと受け取ることを、短いサイクルで経
験していきます。
子供にとっては依存の時代ということになりますね。
しかし、子供が思春期になると、心理的に少しづつ、親から自立していきま
す。
それは、憎まれ口の中に見ることができます。
「お父さん臭い!!」
「いいかげん口うるさいんだよおばさん!!」
思春期の子供は、なんと親のハートを木っ端微塵にするのがうまいのでしょ
うか・・・(涙)。
これは人間特有の自立の第一歩です。
動物ならば、子供のお尻からフェロモンのにおいがしてくると、子供を群れ
から追い出し、親が子供の自立を促します。
しかし、人間は子供を家庭から追い出す、ということはしません。
親は、子供をいつまでも子供として愛し続けますから、この自立のプロセス
は、子供が親を嫌うような形ですすめられていきます。
それが、表面的には、反抗期や憎まれ口になります。
また、思春期の時期というのは、子供は少しづつ、自己嫌悪や、罪悪感・無
価値感など、つらく苦しい感情をさまざまな形で体験していきます。
実はこれらの感情は、大人として成熟しないと感じることに耐えることがで
きません。そういったネガティブな感情は、多くの場合抑圧されていきます
から、潜在意識の中に後々のこる、一般的に「痛み」に分類される感情は、
このころのものがほとんどです。
思春期は情緒不安定だ、という一般的な観念はここからきています。
つまり、さまざまな形で子供は、大人と子供の境目を、子供なりに苦労しな
がら歩んでいく、ということですね。
ですから、子供とどう接すればいいか、親にとっては、苦悩の時期でもあり
ます。
ただ、やさしく、愛してあげればいいというものでもありません。
このころの子供は、次第に自分自身を愛さなくなっていきますから、親の愛
も、素直に受け取ることが出来ないのです。
しかし、そうすることで、次第に親と子供に心理的な距離が出来ていきます。
親にとっては、実は、この距離感は、寂しくもあり、切なくも有り・・・
という時期ですね。
ある意味、思春期は親子関係では、冬の時期、親も子供も苦悩と寂しさを多く
体験する時期と言えるかもしれません。
しかし、その冬も、上手に乗り切る方法はさまざまです。
それは、また、次回以降に振るとして・・・
子供が青年時代を向かえ、大人になると、親と子供の心理的距離は、再接近の
時期を迎えます。
この再接近は、思春期という冬の時代を上手に乗り切ることでプロセスがより
簡単になります。
このころ、子供は社会にでて、両親の苦労と苦悩を自分自身の体験として、実
感していくことになります。
ここから、子供は両親に対する感謝の気持ちを思い出します。
一方、親は子供を手放さざるを得なくなり、寂しさは一層募りますが、感謝の
気持ちを思い出した子供が、もう一度心理的な距離を縮めてくれる時期でもあ
ります。
この時期、両親と子供の立場はある意味、逆転していきます。
子供は感謝という形で両親に愛をあたえ、両親はそれを恥ずかしながら受け取
っていく、という、与える側と、受け取る側との逆転が起こるわけですね。
そして、子供は「孫を与える」という形で、自分が小さかったころの感謝の気
持ちを両親に与えることが多くあります。
「お前の子供のころにそっくりだ」
「お前が子供のころは、○○だった・・・」
なんて事を、あなたのお子さんをご両親に合わせたときに、言われたりしませ
んか?
両親は、孫の姿に、あなたの小さかったころを投影しているのです。
そして、親はこのとき、小さかった昔の子供の姿を思い出し、あのときに沢山
感じていた、「天使のような子悪魔」への愛をもう一度深く感じるのです。
この愛を感じることで、親は多くの場合、また、元気に生きたい、という生命
力を呼び起こされます。
そして、子供はそんな親の姿を見て、喜びを感じ、両親との繋がりを感じるの
です。
今回、たどってみたこの物語は、とっても一般的であり、また、ある意味理想
的な親子関係のプロセスともいえます。
このプロセスを上手に歩む一番の方法は、
「今を生きること」に尽きると思います。
「今、ここ」に集中して生きていくことにより、親であるあなたの子供に対す
る愛は、洗練されていきます。
あなたと、お子さんの幸せな姿をイメージしてください。
ただ、イメージするだけで、手段は後回しで。
手段や考え方は、このメールマガジンや、カウンセリングを使えば、いくらで
も思いつけますから。

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