期待の心理学(1)~期待の心理とは~

「期待」は失望の母とも言いますし、私達が日常を過ごす中で感じる・ストレス、フラストレーションの理由にもなるもの。

また、この「期待」が一つの理由となって、恋愛や夫婦関係、仕事や対人関係に問題や軋轢などが起こることも少なくありません。

あなたの期待が、あなたの幸せを遠ざけちゃうことがあるんですね。また期待は「他者への要求」を生みますし、「完璧主義」になってしまう理由の一つとも考えられています。何より期待が強い心理状態は強いストレスを生み出しますから、自分自身にも心の面で負担がかかるもの。

そこで今回はよりよい「ワタシ操縦術」のための「期待の心理」についてご紹介したいと思います。

今回ご紹介する「期待」とは、『私達がそれぞれに持つ「ものごとはこうあるべき」というイメージ』のことを意味しています。そして私たちは自分の期待にそぐわないものを切り捨てていきますから、意外と多様な発想に行き着かず、ストレスを抱えたり、行き詰まりを感じることも少なくないのです。

もちろん自分自身が持つ期待を実現のために努力することで自信がつく側面もあるのですが、どこか「期待」が強く心にある状態には常に不安定さもあるものなんですね。そこで今回は期待の心理を心の成長プロセスの側面からご説明していきます。

「どうして私の彼は私の気持ちが分からないのかしら?もうありえないし。」

「上司から『この得意先とのことは全て君に任せた』と。今までにないプレッシャー感じるし。まずいな、もう夜も寝られないかも・・・。」
「きっとこの勉強をすれば、いい就職先が見つかる・・・と思う。」
「これぐらいの仕事量がこなせないって、甘えてるわ、私。」

ココに書いた例え、全て「期待」が絡んでいるお話です。

私たちは毎日の日常を過ごす中で、様々な期待を感じて生きているものです。もちろん今感じている期待を全て「期待」だと認識しているわけでもなさそうですけれども。

私達カウンセラーはよく「期待は失望の母」なんて表現をすることがあります。期待は自信のもとにもなるのですが、時に生きづらさをもたらすものでもあるんですよね。

そこで今回の心理学講座は「期待の心理」について扱います。

ではまず、私達が学ぶ心理学でいうところの「期待」について少しご説明したいと思います。

「期待」とは、私達がそれぞれに持つ「ものごとはこうあるべき」というイメージのことを言います。だからもちろん期待は人それぞれで違うものなんですよね。

では、どうして私たちは「期待」・・・「こうあるべき」というイメージを持つようになるのかを、「心の成長プロセス」の視点からご説明しますね。

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私たちは子供時代「一人では何もできない」ような「依存」の時代を過ごしています。

その中で、例えば、周囲の大人の期待に答えると愛される、いい思いをする、ということを経験的に知ることもあるでしょう。

また、私達が十分に周囲の愛を感じ、手助けや依存心が満たされているといいのですが、人によっては「誰かをアテにしたかったのに誰も助けてくれない」「見捨てられた」「頑張って期待に応えたのに愛されなかった」といった「痛み」や時には「被害者意識」を持つことも少なくないのですね。

そしてその痛みや被害者意識から「自立」が始まっていくことも往々にして有り得る話。

「もう周囲に求めたって、期待に答えたっていい思いをすることはない・・・いいや、自分で頑張る」

そんな意欲を持つことがあります。

すると、今まで周囲に期待していたり、周囲の期待に答えていた感覚が減って、「自分自身」に期待するようになります。自分がこうなろう、自分はこうあるべきだ・・・といった風に。

しかし実際は、そうはいえども「どうしていいのか分からないこと」って多いんですね。今までは周囲の手助けの中で生きていた分だけ、「分からないこと・できないこと・経験不足であること」はたくさんあるものです。

だから、どこか「もう誰にも頼らない」という態度を取りながらも、どこかで誰かがなんとかしてくれないかを「期待」する気持ちが出てくるんですね。

もう少し感情面を見ていきますと、どこか私達の「依存時代」に感じた失望、恨み辛み、被害者意識がまだまだ残っていることが多く、いわゆる「自立しはじめ」の時期は、途端に怒りが噴き出てきます。

どうせ人なんてアテにしたってね・・・。
そんな気持ちがたくさん出てくる時期でもあります。

一方、この期待の中で私たちは「自分なりのやり方」を模索し、どこか「努力した分うまくいく(はず)」と自分にも物事にも、多くの期待をかけていきます。「あれもしたい、これもしたい」と自己実現欲求をたくさん持つようにもなります。

そこではどこか「思考的」になって「何が正しいか?」ばかりを考えたり、「私はどうすれば満たされ成功するか?」と「正解」を探すことにやっきになることもあります。

もちろん、自分のやり方で頑張って「成功」する度合いだけ、「自信」がつきます。

が、自分ひとりでアレもコレも・・・と考えるからこそ、物事に失敗すると、強い「失敗感」「自己不信」に晒されることもあります。

もう誰の手も借りない、誰にも期待しない。
自分の力で自己実現をする。
だからこそ、あれもしなきゃ、これもしないと・・・といった思いが強まる。

そもそも期待の心理・イメージは、私たちが子供時代(依存時代)に、人との関係で傷ついたり、誰かの期待に答えられなくて悩んだり、周囲からの期待で苦労したなどの経験から、「これなら失敗しない」「私は人はこうあるべき」と学びとった自己防衛策の一つとも考えられます。

だから、なかなかこの期待してしまう気持ち、自分のやり方、イメージを手放すことが難しいことも少なくありません。せっかく依存時代に学んで「自分が傷つかないように」得てきたものを手放すって不安ですからね。

ただ、このような発想が強まるからこそ、私達の心理学では期待を強く感じる時期は「成長プロセスの中で最もストレスフルな時期」と考えられています。

ここでは「期待」をどう扱い、どう上手に抜けていくかで、私達の心のコンディションは変わっていくのですよね。

また、あなたが「自分に期待をかけて頑張っている」分だけ、実は「他者」にも同じような「期待」をかけてしまうことがあり、コレが様々な問題や対人関係、パートナーシップでのトラブルのもとになっていくこともあるんです。

そこで次回は、この「期待」と「要求」について取り上げてみたいと思います。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

浅野 寿和

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。