子育てを通じて浮上する、子供の頃の満たされていない心

親に構ってもらえなかったり、受け止めてもらえなかった等、子供の頃に感じていた満たされていない気持ちが、子育てをきっかけに表面に出てくることがあります。

親という立場でありながら、子供に対して「自分だけを見て欲しい」という気持ちが芽生えたら、困惑してしまいますよね。

では、そうした感情とどう向き合っていけばいいのでしょうか。そんなときは、まず自分の感情を否定しないことが大切です。

その上で、親との関係の中で感じていた自分の心に向き合い、親の問題に対する理解を少しずつ深めて親に対するイメージを変えていくことです。

そして子供の頃、本当は親にどうして欲しかったのか、あなたの満たされていない心に寄り添い癒していくアプローチをとっていくといいでしょう。

◎リクエストを頂きました◎
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もうすぐ2歳になる娘のことです。仕事復帰を機に保育園に預けています。
最初は嫌がっていたものの、今はお気に入りの女性の先生もでき、環境にも慣れ楽しんでいるように見えます。

私はこれで罪悪感を感じることなく仕事に専念できると嬉しく思っていたのですが、その反面、お気に入りの先生への娘の態度が、気になり出し始めました。

迎えに行くと大抵はこちらまで大急ぎで抱きつきに駆け寄ってきますが、その先生がいる時は、あ、来たーくらいの感じです。娘が安定して園で過ごせるのは、先生のお陰だろうと感謝していますが、一方で、その先生だけを特別扱いすることが気に入らないのだと感じます。この気持ちとどう付き合っていけばいいか、困惑しています。

私のように、母親に受け止めてもらえたことのないような人にはなって欲しくないので、私だけを見て欲しいなんて態度で接する訳にはいきません。子どもを独り占めしたいのなら自分で世話したらいいのですが、仕事を辞めて娘一人育てるだけの人生は窮屈すぎます。

まだ子供の自分として満たされていない部分があるから、こういうことが起こるのでしょうか?
(一部編集させていただきました)
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リクエストありがとうございます。

担当させていただく高見綾です。どうぞ、よろしくお願いします。

自分が子供の頃に感じていた満たされない気持ちは、普段は心の奥に押し込められていることが多いのですが、子育てをきかっけとして、表面に浮上してくることがあります。母親にとって娘は、同性で近い存在であるだけに自分を映し出しやすいとも言われています。

子供の頃に、母親に十分面倒をみてもらえなかったり、話を聞いて受け止めてもらえなかったという思いが消化されずに残っていると、自分の子供に対しても同じ思いを抱きやすくなるのです。

とはいえ、母親という立場上、「私だけを見て欲しい」という思いを持っていることに、戸惑いを感じてしまうこともあると思います。そんなこと思っちゃいけない、とは思わずに、まずは自分の思いを「良い、悪い」で判断しないで、そういう気持ちを持っていることを、ただ受け止めて認めてみましょう。

背景にある母親との競争

この問題の背景には、母親との競争が隠れていることがあります。

心理学では、心には否定形がないと考えられています。そうすると、「あんな風にはなりたくないな・・・と思うと、なぜかそうなってしまう」ということが起きるのです。

例えば、母親のように受け止めてくれない人にはなりたくない、と思っても、心は「あなたにとっての母親」のイメージを認識しますので、反面教師にしようと思って、そうならないように努力していても、なぜか「母親に似通ってくる」といったことが起こります。

心は、「ああはなりたくない」というものに、強い興味を持つ性質がありますので、あなたが否定すればするほど、自分の母親の嫌なところに興味を持ってしまうということが起こります。

そこで、あなたのお母さんはどうして「受け止めてくれない」人だったのか、お母さんなりの事情があったのかもしれない等、少しずつ理解を深めていくと、お母さんの新しい面に気づくことができて母親像が変わってくるかもしれません。

母親のイメージが変わってくれば、「ああはなりたくない」という思いも少しは和らいできそうですよね。

だからといって、無理にお母さんを理解したり許したりしなければならないわけではありません。あくまでもあなたの心を軽くするためのアプローチですから、あなたの気持ちを大切にしていきながら、お母さんを「知る」という視点を持つとよいと思います。

そして、子供の頃に感じていた満たされない気持ちを癒していくと、「私だけを見て欲しい」という気持ちが薄らいで心が楽になっていくことがあります。

自分の気持ちを許し、満たされない心を癒していく

あなたが子供の頃に抱いた悲しみや苦しさを、子供にはもう引き継がせないという強い意思を持つことは、とても素晴らしいことだと思います。

負の連鎖を防ぐためにも、あなたが子供の頃に感じていた満たされない心を認め癒していくことは、あなたの心にあいた穴を埋め、気持ちを楽にする一つの方法です。

あなたは子供の頃、本当はどんなふうに母親に接して欲しかったのでしょうか。そのとき感じていた気持ちを、遠慮することなくどんどん吐き出していきましょう。口に出すとそれだけでも気持ちが解放されて癒される効果があります。これにはカウンセリングを使ったり、信頼できる友人などに話すというやり方がありますね。

そして、目をつぶってこんなイメージをしてみます。

思うように受け止めてもらえなかった子供の頃の自分をイメージします。大人になった自分がその子を見ているようなつもりで、その子の側に立って気持ちに寄り添ってあげましょう。

例えば、「悲しかったね、よく頑張ったね」等と自分が当時かけて欲しかった言葉をかけてあげます。その子が安心できるように、優しく子供の頃の自分をそっと抱きしめて包みこんであげてください。

園の先生に対して複雑な気持ちになったり、満たされない思いが募ったときには、繰り返しこのようなイメージを使った方法を取ってみると効果的です。

簡単ではありますが、参考になりましたら幸いです。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

高見 綾

大学卒業後、民間企業の経理・財務業務に従事。自身の悩みを解決するために心理学を学び始める。 人生がうまくいくためには特定の法則があることに気づき、多くの人のサポートを行う。 自己改革及び恋愛・結婚を含む人間関係全般のカウンセリングを得意とする。著書に『ゆずらない力』(すばる舎)がある。