心地よい家族関係を作るために ~家族でさえ気を使う心理~

対人関係ご相談で「相手に気をつかうのでとても疲れてしまう」というものがあります。

言いたいことは言えない微妙な距離がある。相手の気持ちを探りあう。相手が怒らないか、機嫌を損ねないかを常に意識している。

そんな「気をつかう関係」が、もしあなたの家族の中にあったとしたらどうでしょうか。家族なのになぜそうなってしまうのか?と考え込んでしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。そんな時に気づくと良いこと、よりよい関係のヒントについて今回はお届けします。

大事なことは、あなたが家族に関われない理由よりも、関わる理由を見ることなのです。

◎リクエストを頂きました◎
=======================================
わたしには姉がいます。
大好きな姉で、尊敬もしています。仲もいいのですが、ただ、肝心なことは無意識に話さなくなっています。
ずっと何年も言えずにいた事があり、それが明らかになったときは姉との関係はかなりこじれました。自分が姉に否定されることや見捨てられることがこわいのかなと思うんです。

今、考えてみると、例えば、テレビの番組の選択やお出掛けの場所なほど、断られるのがこわくて自分の意見は言いません。それでも窮屈には思っていませんでした。でも、今回姉との関係が普通ではないように思えてきたんです。姉との関係について、客観的な意見といい関係を作るヒントがあれば知りたいです。
(一部編集させていただいています)
=======================================

どんな対人関係でも、いわゆる「気をつかう関係」の中にいると、どこか疲れますよね。

言いたいことは言えない微妙な距離がある。

相手の気持ちを探りあう。

相手が怒らないか、機嫌を損ねないかを常に意識している。

表面的に上手に付き合っていたとしても、時にどっと気持ちが疲れたり、フーっとため息がつきたくなることもあるかもしれません。それはおたがいさま、なのかもしれませんけれども。

さて、そんな「気をつかう関係」が、もしあなたの家族の中にあったとしたらどうでしょうか。

今回いただいたリクエストではお姉さんですが、一般的に分かりやすいケースは「怖い・怒るお父さん」に気を使う、というケースが多いでしょうか。

少しでも機嫌を損ねると怒る人、何を考えているかわからない人が、あなたのそばにいるとしたら、どこか息を潜めたり、触らぬ神に祟りなし・・・と言った具合に、あまり近づきたくないと感じることはないでしょうか。

それぐらい相手を「怖れ」ますよね。もっと言いますと、相手が感情的になる、怒ることを怖れる。

つまり、怒られることを怖れる、ということは意外と少なくない話なのかもしれません。

そしてその「怖れる理由」はさまざま入れ替ることがあるでしょう。

見捨てられるのが怖い、嫌われるのが怖い、馬鹿にされるのが怖い・・・人によって状況によってさまざまです。

その分あなたが相手を距離を取っていますから、つい伝えそびれてしまうことができたり、言いたくても言えないことを我慢することもあるでしょう。

ここでできる「相手との心理的距離」には、よく「不信感・疑い」「問題」などがが入ることがあります。

するとあなたが「相手が怖い・気を使う」と感じるだけでなく、「相手は私のことをどう思っているのか」「相手と私には問題がある(問題が起きる)」といった感覚を持つようになりますね。家族間なのに「親密感」を感じるどころか、その微妙な距離感に入った感情のフィルターで相手を見ることになるでしょう。

すると「どうしたら気を使わず相手と関われるのか?」を考え込んでしまうんです。

そして問題を解決しようとするといった発想を持つこともあるでしょうね。リクエストの例で言えば、「どうしたらお姉さんの機嫌を損ねないか?」を考えるといった風に。今まではそれが当たり前になっていて気づかなかったのかもしれませんね。

いわゆる「相手に気を使う」という状態は

あなたがあなたの気持ちを見て

「私が相手に関わったり、相手に何か伝えると怒られる(もしくは何かが起こる)」

「相手はきっと私のことをこう思っている」

と感じている状態に近いのです。

この状態になると、あなたにとって実際に「相手が私をどう見ているか?」は見えないことになっていきます。

するとあなたはきっと相手の様子を伺うような態度になることもあるでしょう。

少し想像してみてくださいね。

「あなたの前であなたの様子をそーっとうかがっている人がいる」

さぁ、あなたはその人に話しかけやすいでしょうか?

 

このように実は相手もあなたを見てその様子をうかがっていたり、怖がっていることって意外と少なくないのです。

もし、あなたにとってなかなか距離か縮まらない対人関係があるならば、実はお互いに「話しかけにくい態度を取っている(お互いの気持ちが相手に伝わりにくい態度を取っている)」可能性がありそうです。

お互いが「自分を見ている」とはこのような状態なのですね。

 

もちろんお互いに相手に気を使う理由はたくさんあるでしょう。

遠慮、相手が怖い、相手が怒る、相手に傷つけられた過去がある、話を聞いてくれない、無視された、愛してくれない・・・など。

コレが「投影~鏡の法則~」となって、相手から距離を取られていると感じたり、相手が私を疑っている、怒るかも、と感じることも少なくないのです。そうなると、お互いに近づくことに何かしらのおそれを感じるかもしれません。

しかし、あなたが相手の気持ちを確かめる理由は意外と限られているのかもしれません。

例えば「相手が好き、仲良くしたい、分かり合いたい、お互いに気分良く過ごしたい」

その気持ちを見るほうが関係性改善には効果的です。人と関わる理由がネガティヴなうちは「関わることがリスク」になるので、人とは関わろうとしませんからね。

キーワードは「気を使うより、自分から関わる」です。「あなたと家族がどんな状態あるか」を分析しすぎて悩むより、「あなたがどんな関係性を築きたいか」の方に意識を向ける方が現実的かもしれません。

コツは「相手もあなたにどう関わって良いのか分からないのかも」という視点を持ってみて、簡単な会話から始めてみると良いでしょう。いい意味での投影の法則を使ってみる感じですね。

嫌われたくない、怒られたくないという意識にとらわれるより、適度なコミュニケーションで「私はあなたのことを好意的に見ていますよ」といった気持ちを伝えていくと、気を使わない関係が構築しやすくなりますよ。

そうすることで、相手との関係がうまくいけばそれで良し。

相手が関わりたくないという態度を取ったとしても、あなたとしては「相手を愛していない・大切にしていない」といった罪悪感からは解放されていきますね。

※なお、家族であっても、あまりに一方的に攻撃されるといった場合は別件になりますので、念のためお伝えしておきます。

 

以上、何か参考になれば幸いです。

 

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。