別れと再生の心理学(1)~執着を手放すという視点~

カウンセリングでよく伺うご相談は男女関係における「別れ」。

離婚、失恋などいろいろですが「別れ」は新しい関係を築くきっかけになる場合もあります。
別れから再生への道のりを歩いていくためには、「執着」とそれを「手放す」ことについて学ぶことがとても役に立ちます。

大切なのは、執着してしまう、手放すのが難しいには、きちんとした理由があることを知り、認めてあげること。

手放すための強敵は「後悔からの自己攻撃」なのですが、それを解放していくためには、付き合ってきた自分がどれほどがんばってきたか、喜びを与えてきたか、役に立ってきたかを思い出して、自分がベストを尽くしてきたことを「自己承認」してあげることです。

執着を手放すのは難しいことですが、その目的は、自分の幸せのためであることを知って、具体的な行動に移していくことで、心を再生へと向かわせます

今回の連載では、4回にわたって「別れ」からの執着を手放し、心が再生への向かい、幸せになるための具体的な方法についてお伝えしていきます。

カウンセリングでよく伺うご相談は男女関係における「別れ」。 離婚、失恋などいろいろですが「別れ」は新しい関係を築くきっかけになる場合もあります。

きちんと向き合って別れた後は、その人が戻ってくることもありますし、新しい出会いにつながることも多いのです。

そのためには「執着」とそれを「手放す」ことについて学ぶことがとても役に立ちます。
別れと再生の心理学の4回シリーズの連載。第一回は「執着」と「手放す」とはどういうことかについて解説していきます。

カウンセリングでよく伺うご相談は男女関係における「別れ」。 離婚、失恋などいろいろですが「別れ」は新しい関係を築くきっかけになる場合もあります。

きちんと向き合って別れた後は、その人が戻ってくることもありますし、新しい出会いにつながることも多いのです。

しかしながら、誰かとの別れには痛みが伴いやすい。そのために、別れられなかったり、別れた後に相手を引きづってしまい、苦しむことも少なくありません。

なぜそんなに大変な思いを抱えてしまうかといえば、それは相手に執着してしまうから。

別れから再生につなげていくためのアプローチの最初のステップは、「執着」とそれを「手放す」ことを学ぶことです。

「執着」とはどういうことか。

執着とは、何かにとらわれている状態や何かにしがみついている状態のことをいい、この状態が解放されることを、「執着を手放す」といいます。

「執着」は、恋愛に限らず、仕事や、お金や、地位等、私たちがこの社会で生活していく中のあらゆる場面に存在するもので、ある意味、生きている以上、何かに執着してしまうのは当然ともいえます。

しかしながら、何かに執着してしまうと、その何かに捕われてしまい、心は自由をなくしてしまいます。

いってみれば、執着している何かという鎖に、心ががんじがらめになって動けなくなっている状態のようなものですから、自分の心が鎖に絡まって息をするのも不自由だとしたら、想像するだけで苦しくなってきますよね。

こんな苦しい状態の心を楽にするには、鎖から心を解き放って、心を自由にしてやるということです。
つまり、今の自分を苦しめている感情を手放すことで、楽になれるということなんです。

これを、「執着を手放す」と表現したりします。

ところが、この「手放す」というのは、文章で書けば簡単なようですが、現実にはなかなかに難しいことです。

執着と愛の違い

特に恋愛に置いては、執着と愛の違いがわからなくなってしまうことがあります。

執着は、自分のニーズ(欲求)から生まれるものであり、そこには相手がどう感じているのか、という思いが入っていません。自分にも自由がない上、相手をも縛ってしまいます。

つまり、二人が対等な関係ではないのです。

それに対し、愛とは、お互いがお互いを思いやる気持ちです。愛は相手を縛らず、自由を与えます。自由の中でこそ、お互いを尊重しあい、対等であることができます。

この状態が、「執着を手放す」ということなのです。

「手放す」とはどういうことか。

日本語の表現で「手放す」というと、持っていたものが離れていてしまう、なくしてしまうようなイメージがありますよね。

心理学でいう「手放す」という言葉は、英語で表現すると「Letting go」と言います。

正しい英語の話ではなく、あくまで私の大雑把な解釈で恐縮ですが、この言葉は「let(~させる)」+「go(行く)」と分けて考えてみると「行かせる」となります。

心理学で扱っている「手放す」とは、持っていたものが離れていく、つまり、自分の手元にあるものが逃げていくという意味ではなく、この「行かせる」という表現のほうがぴったりきます。

離れていく、のではなく、自らが離していくのです。

つまり、「手放す」とは、「別れる」ということと必ずしも同じではないのです。

「かわいい子には旅をさせろ」。

「手放す」とは、別の言い方で表現すると「かわいい子には旅をさせろ」みたいな感覚です。

「手放す」について、小鳥を籠から放すことが例えに使われることがありますが、執着している状態は、恋人という小鳥を籠に入れている状態です。それを籠から解き放って空に返してあげる。もしかしたら、もう帰ってこないかもしれません。けれど、また手元に戻ってきてくれるかもしれないのです。

もし、戻ってきてくれたとしたら、どうでしょう。

それは、自分のしがみつきではなく、あくまで小鳥=恋人がその人の意思で戻ってきたことになります。

これが、自由な心の状態、手放しができた状態です。
この状態の時、二人の関係は対等です。

そうしてはじめて、あなた自身が様々な心の束縛から自由になれ、真にパートナーとのつながりや愛を感じられるのです。

このように「執着を手放す」ことが別れと再生への大切なアプローチになるのですが、それは理屈の話。実際には、とても難しいことです。

次回以降、別れと再生のために必要な視点や手放すための具体的な方法について解説していきます。

 

>>>『別れと再生の心理学(2)~手放すための強敵は「後悔からの自己攻撃」~』へ続く

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。