コミュニケーションの基本(最終回)

ネガティブな気持ちをどう伝えたらいいのか?そして、究極のコミュニケーションとは?

ネガティブな気持ちを上手に伝えることが今回のテーマです。
そして、これがなかなか難しいですね。
嫌味になってしまったり、しつこく攻撃的になってしまうと、あなたが毎日価値を見続けたとしても、その態度や言葉にパートナーが嫌悪感を持ってしまいますから、せっかくの努力も無駄になってしまいます。

そこでは1回目の「素直な気持ち」、2回目の「ポジティブ・コミュニケーション」をミックスした形でのネガティブ・コミュニケーションにチャレンジしてみましょう。

例えば・・・。
「あなたにとっては家庭なんてどうでもいいんだよね。仕事が恋人って感じかしら?仕事と結婚すれば良かったのにねぇ」
と言ってしまうと、その言葉と寒い雰囲気にパートナーの全身は一気に凍って行きます(経験者)。

でも、「そんなに仕事ばかりしてたら寂しくて、“仕事なんて無くなっちゃえばいいのに”って思っちゃう」って素直な気持ちを伝えてみると、パートナーとしてはニコッと抱きしめたくなるものです(これも経験者)。

素直な気持ちが本当に大切になってくるのがこのシーンです。
実はネガティブ・コミュニケーションのコツは素直に、無邪気に、優しく、といった点にあります。

ネガティブなことを伝えるとすると、相手だって気分を害する可能性が少なからずあるわけですね。
それを乗り越えて伝えていくわけですから、分かって欲しい気持ちがあればあるほど、その表現には慎重にならざるを得ません。

「どうせ、今日も帰りが遅いんでしょ?」と嫌味たっぷりに伝えたとしたら、ご主人は「そっか、じゃあ、今日は早く帰ってあげよう」とは決して思えません。
むしろ、帰る足取りはどんどんと重たくなっていってしまうもの。
そして、家で待っているあなたの顔を思い浮かべるたびにため息とともに同僚を飲みに誘ってしまうかもしれません。
そして、ますますあなたはキーッとなってしまうんですけどね。

ネガティブ・コミュニケーションの達人になるために

相手がいい気分にならないとわかっていてもついつい嫌味になってしまうのは、二つの側面があると思うんです。
一つは不満や寂しさを我慢して我慢して、心に余裕がなくなってしまった、ということ。
もう一つは「どうせ私の言うことなんか、聞いてくれないわ」という諦めと無力感。

だから、まずはこの二つのパターンをケアしてあげる必要がありますね。

いっぱいいっぱいになってしまうのは、すなわち我慢してしまうからですよね。
じゃあ、何を我慢してしまうのか?というと、相手に伝えることではなく、感情を感じることではないでしょうか?

旦那がいつも仕事ばかりしているとしたら、私ってどうでもいい存在なのかな?と寂しかったり、惨めだったり、虚しかったり。
でも、そんな感情を感じるのはとっても嫌なことだから、我慢して抑圧しようとします。
「一生懸命、家族のために働いてくれてるんだわ。だったら私も頑張らなきゃ」といい妻を演じて、感情を頑張って我慢したりします。
ただし、これも結婚3年目までくらいで、その後は我慢することが癖になってしまってるものですけどね。

でも、やっぱり寂しい気持ちはわかって欲しいから、それとなく旦那に伝えてみたりもします。
でも、仕事に疲れてる旦那さんは、大抵あなたの主張は耳に入りませんから、そこであなたは「私の言うことなんて聞いてもくれないんだわ」と寂しさ5割増ってところですね。

一般に男性というのは、感情に鈍感なタイプが多いですよね。
仕事ではビジネスライクに割り切っていますし、日常の中ではセックス以外ではなかなか感情を感じられないものだったりするんです。
だから、あなたがそれとなく「寂しい」と伝えたとしても、それを理解し、受け入れる術を知らないことも多いものです。

女性はいろいろなサインを男性に送りますよね。
言葉や態度で。
でも、そのサインに男性が気づくのは10回中1回あるかないかと思って下さってもいいんです。
10回中3、4回も気づいてくれる男性がいたとしたら、それはホストかカウンセラーかっていうくらいですから、ちょっと怪しんでもいいかもしれません(笑)

だから、あなたが勇気を振り絞ってさりげなく伝えたサインの多くは、意図せず抹殺されることになります。

ですから、なおさら我慢して溜め込みやすくなってしまうのですから、日常での心のケアがとっても大切です。

◇今日のエクササイズ◇

まずは、あなたが自分の素直な気持ちに気づくことから始めてみましょう。
あなたの身近な人を一人思い浮かべて見てくださいね。
そして、その人に対する素直な気持ちを感じてみてください。
一つだけではないはず。
そして、いい思いばかり、悪い思いばかりでもないはず。
できるだけ素直な気持ちを感じてみることがお勧めです。

うまくできない人は、その人の笑った顔、怒った顔、拗ねてる顔、疲れた顔、無表情な顔などを思い浮かべてみましょう。

そして、感じた気持ちをただ、そのまま感じてみてください。
どんどん怒りが出てきてどうしようもないって方も、できる範囲でその怒りに付き合ってみてください。

感情というのは、感じてあげれば必ずあなたの心から抜け出していきます。
最初からうまく行くことはないですから、自分が感じている気持ちに素直になってみるつもりで、ただ、感じつづけてみてください。

何も感じないという方。
それも感情の一つです。
そのまま「何も感じないなあ」という気持ちでいてくださいね。

そして、今度は、その感じている気持ちをノートに書き留めていきましょう。
ありのままの感情を吐き出す場所として、そのノートはとても貴重な役割を担ってくれるようになります。
もちろん、家族や友人、カウンセラーに頼んで、じっくりと話を聞いてもらうこともいいですね。

そうして、自分の気持ちを表現していくことが心に余裕を作る一番のコツなんで、これによって、感情があなたの心から外に解放されていくようになるんです。

ネガティブ・コミュニケーションにチャレンジ

そうして、心に余裕ができてくるようになったとしたら、いよいよ、ネガティブな気持ちを伝えて行くことにしましょう。

そこでは「きちんと話をする雰囲気」を作ってみることが大切です。
家の中で難しければ、ちょっと二人で飲みに行ってもいいでしょう。
方法も直接伝えるのは勇気が要ることだとしたら、メールでも、手紙でもいいですね。
(うちの奥さんはよくケータイのメールで伝えてくることが多いですね。僕自身は直接伝えることが多いかな)

そして、ネガティブな気持ちを伝える目的を改めて確認してみることがとっても大切なんです。
そして、それは実はポジティブな目的なんですよね。
「もっといい関係を作りたい」
「私や自分をもっと大切にして欲しい」
「将来のことをもっと考えたい」

そして、ネガティブな気持ちを伝えるときの最大のポイントは
「相手の価値のラインから伝えること」
なんですね。
自分の欲やわがままから伝えてしまうと、どんなに上手に伝えても拒絶される確率が高くなります。

仮に仕事が忙しくて、あんまり構ってくれない彼・旦那に伝えるシーンを例に取ってみましょう。

「なんで、私のことをそんなに放っておくの?寂しいよ」
「あなたは仕事は一生懸命なのに、私のことはどうでもいいの?」

これは素直な気持ちなので、彼も受け取りやすいのですが、実はこれだけではちょっと足りないんですね。
彼としてみれば「だったら、どうしろっていうんだよ」という気持ちになりやすいです。
いわゆる「重たい」というのはこの「俺もどうしていいのか分からない」ということがほとんどだったりするんです。

「あなたは一生懸命生きてる人だから、仕事が大切で、一人前になるのを目指して頑張ってるのはよく分かるの。でも、私も女だからとても寂しくて。あなたが仕事ばかりになってしまうのを見てると本当に寂しくて、私なんていないほうがいいかもって思っちゃうの。」

これは彼の価値や一生懸命さを理解しようとしている姿勢が印象に残るので、彼も素直に「ごめんな。悪かった」と思って、いとおしさを感じやすくなります。

今度は別角度から。
「あなたと一緒にいると、とても頼り甲斐があって、安心できて、すごく素敵な人が彼氏で良かったと思えるの。だから、もっと一緒にいたいな、って思うんだけど、わがままなのかな?」

これは普段からポジティブ・コミュニケーションを繰り返していないと最初の部分から警戒されてしまいますが、無邪気だったり、かわいらしく伝えることができた分だけ、彼の心に響くでしょう。

ただ、もう付き合ってウン十年になろうかと思う方がこれを読まれたら、きっと「ケッ」と思って、気分が悪くなるかもしれませんね。
そういう方のために。
「あなたが家族のことを考えて仕事をしてくれているのは、とてもよく分かるわ。私もいつも感謝しているし、もっとそのことを伝えなきゃと思ってるの。いつも言えなくてごめんなさいね。本当にありがとう。でも、私も女だから、もうちょっと相手してくれると嬉しいの。」

これなら、まだマシかな。

ただ、紹介しておいてなんですが、上の例をそのまま彼に伝えても成功する確率って案外低いと思うんです。
なぜかというと、あなたの大切な人にはその人なりの個性があって、魅力がありますよね。
その部分をきちんと見つめてあげないと、なかなか相手のハートにヒットさせることってすごく難しいと思うんです。

最後に(究極のコミュニケーション)

今回も長文になってしまいましたが・・・。
コミュニケーションというのは、色んな要素が必要ですね。
心に余裕がなきゃいけないし、相手の価値が見えてないと難しいし、伝える目的が分かってないといけないし、勇気もいるし、自分に自信も必要です。

カウンセリングをしていると、コミュニケーションの難しさを痛感されている方がほんとに多くいらっしゃいます。
旦那に、彼に、奥さんに、上司に、友人に、姑に、お子さんに、どう伝えたらいいんだろう?言いたいことがうまく伝わらないんだけどどうしよう?という思いをたくさんもっていらっしゃいます。

でも、基本はやさしさと思いやり。
つまりは愛情だと思うんですね。

試行錯誤なのかもしれませんが、頑張ってみてください。

因みに“究極のコミュニケーション”といわれるものを最後にご紹介しましょう。
4つあります。
「ありがとう」
「ごめんなさい」
「助けてください」
「愛しています」
すべてのコミュニケーションはこの4つで表現できるといわれます。
そして、さらに一つに絞るとすると、それは「ありがとう」。

まずは、毎日10回誰かに「ありがとう」という癖を付けてみると、あなたの住む世界が変わるかもしれませんよ。

この記事を書いたカウンセラー

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