人の輪の中から離れたくなる私を手放す(4)~今の私からの卒業・手放しを目指して~

あなたの家族との関係、また大きな痛みや喪失などの体験をすると、時に心が傷んだ度合いだけ「ニーズ(欲求)」を持つようになることがあります。

そして痛みがもたらす強いニーズを放っておくと「ネガティブな感情」を作ることがあるんですよね。
その結果、人の輪から離れたくなるといったことも起きやすくなります。できれば心の傷や傷跡、そこから生まれるニーズは解消しておくほうが良いと考えられます。

今回の講座はその痛みの解放方法を幾つかご紹介します。

さて、私たちは生きているとどうしても傷ついてしまうことがあるんですよね。それはある意味致し方ないことというか、避けられないことといいますか。全く無傷で生きつづけることもまた難しいものかもしれませんね。

ただ、あなたの家族との関係、また大きな痛みや喪失などの体験をすると、時に心が傷んだ度合いだけ「ニーズ(欲求)」を持つようになることがあります。

もちろんニーズは誰にでもあるものですから、ニーズ自体が問題という話ではないんです。

が、とかく家族関係や対人関係でのハートブレイクの結果生まれるニーズは、ときになかなか解放されず、強いニーズとなって心のなかで存在することも少なくありません。

失恋でもいじめの経験でも、子供時代の承認・愛情不足の問題でも、だから「自分のニーズを満たそう」として生きている方は意外と少ないものだと思います。むしろ、そのニーズを感じると嫌な気分がするので、いろんな辛い経験を抱えながらも一人で生きていることが当たり前になっている方もいらっしゃるでしょう。

 

ただ、こういった強いニーズは放っておくと「ネガティブな感情」を作ることがあるんですよね。

私をふった異性に、

私をいじめたあの人に、

一生懸命愛したけれど助けられなかったあの人に、

私のことを大切にしてくれなかった家族や両親に、

愛してほしいというニーズを持ちつつも、そのニーズが存在する分だけ、例えば「恨みつらみ」「怒り・攻撃性」のような感情を抱えやすくなるともいえます。もちろんそんな思いを表現している人のほうが少ないのかもしれません。

が、その結果、心の痛みが影響したり、怒りや恨みつらみを持っている私を周囲に晒したくないので、人の輪から離れるということにもつながっていくことも多いです。

だからここを変化させるには、ある程度、そのご本人の意欲・意思が必要になって来ることが多いんですね。今のままでいいか、と感じているうちは、ある意味変化させることが難しくなることも多いものです。

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では、この人の輪から離れたくなる私を手放す方法の一つをご紹介します。

いわゆる傷ついたあなたの心・特にインナーチャイルドを癒すプロセスが代表的です。

子ども時代に受けた傷や、過去に愛されなかったこと、理解されなかったことだけでなく、大切な人を助けようとした自分や、無力感の中でも生き抜いてきた私など、その心の痛みを解放してあげます。

セルフワーク的には、昔の私の写真などを見ながら(クッションやぬいぐるみなどがあれば、それを昔の私に例えます)自分の中にいる小さな子供をイメージして、話しかけて見るんです。

「頑張ったよね」「すごいね」「寂しかったよね」「辛かったよね」など、小さな子供をあやすように話しかけていきます。

何度も何度も話しかけ、その子が笑顔になったなら、そのインナーチャイルドは解放されたことになりますね。

もし、その子が泣き出したり、今のあなたに話しかけてきたなら、ちゃんと話を聞いて、その感情を解放できるように寄り添ってあげてもいいでしょう。

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また、そもそも私は愛されないという経験をしたり、もともと持っている愛が強い人ほど、無力感にとても敏感です。その思いが純粋であればあるほど、どうしても無力な感覚は伴いやすいのです。

なので、繊細な方ほど、無力な感覚を感じないように人との関係を避けることに依存してしまいがちなのです。

よって、実は自己実現をするとあなたの無力感が開放され、対人関係でも人の輪の中に加わりやすくなるという側面もあります。

ここでいう自己実現は、あなたの好きなことをする、夢をかなえるという意味もありますし、何かしら行動して「やればできる」という感覚を身につけるということにもつながります。

実際に、自分の人生変えるぐらいにやりたいことにチャレンジしてもいいですし、ほんとうに簡単な自分との約束を決めて(寝る前に歯を磨く・靴を揃えて脱ぐ・毎日自炊するなど)、それを意識的に続けていくことで無力感から開放されていくことも実際には起こり得ることです。

ただ大事なのは焦らないことで、今、できるだけの癒しに取り組み、ゆっくり自分のパターンを変化させること。ある程度の妥協的思考を取り入れることも大切ですね。

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そして最後にとてもシンプルな方法としてご紹介すること。

それは、あなたの信頼できる人に「私って人の輪から離れたくなるんだよね、どうしたら良いと思う?」と真剣に話してみること。

「友だちに聞いてもあまり効果がなかったという方もいるのでは?」と僕自身が最初のテキストで書いていますから、なんだか矛盾するようですが、「プライドを捨てて真剣に聞く、真剣に質問する」という行動は、あなたの中の不安や分離感を解放するとてもいい手段にもなりえます。

すると、意外なんですが、問題意識や人への抵抗感が薄らぐ、といったことが起こるんです。

私達の世界では「本気で相談できたら(行動できれば)、問題の半分ぐらいは解決しているのと同じ」なんて考え方があります。

自分の中の不安や問題意識を解放するだけでも、実は勇気のいることで、その気持ちを言葉にして解放するだけでも随分と心のあり方は変わります。

後はいろんな手法を使って丁寧に自分を変えていくプロセスを進んでいけばいいんですね。

そしてもしそのプロセスを一つの自分の成長・変化だと感じ、楽しめるならばそれほど楽な癒しはないということに気付けるでしょう。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

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年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。