モチベーションの心理学(1)~怒りとやる気~

仕事に限らず、私達が前向きに生きていくためにはモチベーション(動機、やる気)がどうしても必要になってきます。

しかし、実際は好きだった仕事が退屈になってきたり、がんばっていた趣味も好きじゃなくなり、なかなかモチベーションを維持するのは難しいようです。
そこで、今回はその“モチベーション”そのものにフォーカスを当て、モチベーションをアップさせるために、また高いレベルで維持するために必要な考え方、アプローチを考えて行きたいと思います。

まずは「怒り」と「好き」というとても大切な感情について学びます。怒りを感じられない(抑圧してしまう)と、やる気は低下しますし、一方で、私達は好きなものについては自然に情熱が湧いてくるものです。
そして、さらに“感情的メリット”(感情的な意味での報酬、メリット)を見つけることで、モチベーションを上げて行くことができる点に注目をしています。
そして、最大の感情的メリットは何か?まで、深く広くお話させていただきたいと考えています。どうぞ、お楽しみ下さい。

●怒りとやる気

あなたは最近、何かに腹を立てたこと、ありますか?
家族や恋人に対してでも、部下や上司に対してでも、社会や政治に対してでも。
そして、本気で怒りを表現したこと、ありますか?
怒鳴り散らすくらいの勢いで。あるいは、髪の毛が逆立つくらいに。

「怒ってはいけない」「感情的になるなんて情けない」などと、言われることが多いですよね。
「あの人は感情的な人だから・・・」というのは、ネガティブなイメージが強いと思うんです。
この“感情的”というのは、一般的には怒りを含めたネガティブな感情を示します。
よく笑い、ニコニコ明るい人を“感情的な人”って言わないですよね。

昔から、感情はコントロールするのがオトナ、と言われました。でも、このコントロールは多くの場合、「抑圧」と同義だったりしませんか?
怒りを感じても、悲しくても、寂しくても、それを面に出さずに抑える物、と。

しかし、感情というのはコントロールするものではなく、上手に付き合っていくものです。

「感情は天気のようなもの」と私は例えます。
晴れの日もあれば、雨の日もあります。暑い日も、寒い日も、ゲリラ豪雨もあります。不平不満を言いたくもなりますけれど、雨が降れば傘を差しますよね。
それと同じく、感情に合わせて生きていくことが風邪を引かない秘訣なのです。

さて、皆さんの周りにいる、高いモチベーションを持って仕事をしてる人を見てください。
実は高いモチベーションをもってビジネスをしたり、情熱的な恋に生きる人は、ほとんどが怒りも含めた“感情”を表に出すものではないでしょうか。

ふだんはクールだけれど、心の中は熱く燃えている社長、いませんか?
穏やかに見せながら、怒り出すと、ほんとに怖い上司、いませんか?

感情を抑圧し、怒りを抑圧すると、モチベーションが低下します。
だから、感情を抑える癖があると、なかなかモチベーションが上がらなくなるのです。

実は、怒りのエネルギーは、やる気に転換することができます。

「チクショー、何でこの企画がダメなんだ!!くそーっ」と怒りを感じられたとき、「よっしゃ、見返してやるぞ」と鼻息荒く、更にその企画を練りこもうというモチベーションが湧いてきます。

テンション低く、「ちっ、やっぱりダメか。どうせ、あの社長に企画持ち込んだって無理に決まってんだよ」と反応をしてしまったとしたら、おそらく、それ以上のものは創れないでしょう。

「怒り」はモチベーションにとって、大切なエネルギーなのです。

モチベーションって情熱だし、やる気だし、感情なんですよね。
決して、理性的なものでもないし、スイッチ一つで稼動する類のものでもないんです。

だから、クールに上品にやろうというのは間違い。
泥臭く、怒りのエネルギーを恐れないことなのです。

やる気が出ない、モチベーションが上がらない、そういうときには、何かを諦めているか、感情を抑圧してしまっているか、とかく“感情的に”なることが少ないのかもしれません。

“むかつくことはよいこと”そう思ってみませんか?

カウンセリングで問題解決を進めていくときに「怒ってもいいんですよ」という話をよくします。仕事の問題だけでなく、夫婦や恋愛の問題でも“人生かけて”何とかしようというテーマの時には、その怒りがとても大切なキーを握ることがあるからです。

感情をイキイキと感じられること、それがモチベーションを心の中から上げてくれる大切な要素なのです。

>>>『モチベーションの心理学(2)~“好き”こそが情熱の源~』へ続く

この記事を書いたカウンセラー

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