麻痺した感情が起こす問題(1)~感情が麻痺する理由~

私たちが赤ちゃんだった頃、それは感情の塊と言ってもいいほどの時代でした。

しかし、成長するに従い、感情を我慢し、抑圧しなければいけない場面に出会います。それは必然であったとしても、そうして抑圧された感情は徐々に麻痺していくのです。
しかし、麻痺して感じなくなったとしても、その感情はなくなったわけではありません。歴然と心の中に残っているのです。

でも、なかなかそれに気付けないですよね?だから、麻痺した感情というのは、あなたの外側からやってくるのです。例えばあなたの周りにイライラした人が多いとすれば、あなたは今、怒りを抑圧して麻痺させているのかも?と考えることができるのです。
しかし、感情はもう一つ別の動きをします。それは麻痺した感情を麻痺したまま維持しようとする動き。例えば浮気性もその一つの事例になるのです。
そうした感情の動きを今回は特集してお送りします。

●感情が麻痺する理由

私達は生まれたばかりの頃は感情の塊と行ってもいいくらいでした。
お腹が空けば泣き、眠たくなればぐずり、思い通りにならなければ怒りまくっていました。
しかし、成長するにつれ、必要に応じて我慢することを覚えたり、状況的に感情を抑圧せざるを得ない状況になったりすると、始めのころは自由に感じられていた感情を徐々にセーブしていくようになります。

例えば、誰かと一緒に遊ぶよりも、一人の方が気楽でいいと感じる方。デートもしてくれるけれど、時々は一人で過ごしたがる彼。

もしかしたら、小さいころから寂しさに慣れてしまっているのかもしれません。

『小さいころ、一人で過ごすことが多く、寂しい思いを繰り返していたヒロくん。
家に帰ると誰もいなくて、一人遊びが多くなります。
始めのころは寂しくて、怖くてしくしく泣いていましたが、お母さんが仕事から帰ってくるまでは、泣いても喚いても誰も助けてくれません。
その辛さも嫌でいやでたまらなかったので、徐々に「寂しい」と感じることを麻痺させるようになりました。
「寂しいと感じるから辛い。だったら感じないようにすればいい」と。
その後、友だちと遊ぶようにしたり、ゲームや勉強に打ち込んだりして、寂しさを感じないように感じないように努力するようにしました。
もちろん、それは意識的なものではなかったのですが、やればできるもので、一人でいても寂しさを感じなくなるばかりか、むしろ、誰かといると苦痛を感じるようにすらなってしまいました。』

また、今、したいことが分からない、欲しいものがない、という方。こんな幼少時代は過ごしてきませんでしたか?

『お母さんが厳しくて、過干渉で、何でも決めていた人でした。そうすると、私が欲しいものよりも、お母さんがいいと思ったものが優先されるようになりました。あるとき、すごく欲しいものがあって一生懸命お願いしたんだけど、お母さんは冷たく首を振るばかり。それはすごく辛い体験でした。そして、「もう、欲しいなんていわない!」と強く宣言してしまいました。もちろん、心の中で。以来、私は自分がしたいこと、欲しいものを諦めるクセが付いてしまいました。どうせ無理、と思って。そうするうちにいつしか、自分が欲しいものが分からなくなってしまったのです』

子ども時代だけでなく、大人になってからも、こうした麻痺は起こります。
遠距離恋愛をしていて、恋人が遠くにいることに慣れてしまった人。
自由に会えないことが当たり前になるので、ひとりでも楽しめるようにします。

頑張っても頑張っても認められなくて、やる気をなくしたビジネスマン。
もうどうでもいいや、と目が死んでしまっています。

幼い頃から自分はダメだと思ってきた人。
好きな人から愛を贈られても受け取れません。
嘘のような気がして、騙されてるような気がして。
これもまた麻痺の一つ。

どれにも共通するのは「もう辛い思いをしたくない」という気持ちです。
その辛い気持ちをするくらいならば、感じないようにする・・・それが感情を麻痺させることになるのです。

ここでこの講座を熟読されてる方はピンと来たかもしれません。
実はこれ、私達が『自立』していくプロセスと同じなのです。

言い換えれば、「自立」が強い人ほど「麻痺」も強いといえるのかもしれません。

>>>『麻痺した感情が起こす問題~感情が麻痺するとどうなるか?~』へ続く

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