心の壁・人との距離を感じるとき ~疎外感と分離感と投影のお話~

頑張りやさんの方とお話をしていると、つらい気持ちや、弱音を心の中に押し込めて、一人で頑張ってこられたお話をよくよくお聞きします。

自立心が強い人にその理由をお聞きすると、自分のことで相手に迷惑をかけたり、負担をかけてはいけないという心理から一人で頑張ってしまったというお話をお聞きします。
そう思ってしまう方は、一人で抱えないことが相手のためになるという考えを取り入れてみてはいかがでしょう?

◎リクエストを頂きました◎
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ひとつ気になっていることがありましてリクエストしました。
私は本当はもっと甘えたりじゃれたりしたいのですが、同性・異性問わず人と近づきにくく感じてしまいます。相手もそれを察してか、私とは距離をあけているように感じて、なんだか寂しくなることがあります。他の人に比べて、私と他の人とは距離があいているのをみて、心の距離もあいているのかな、と疎外感を感じることもあります。なぜこのような壁をかんじるのでしょうか?

(一部編集させていただきました。)
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どうしても人との距離を感じる、ということ。これを心理学的に見ていくと「自分が他人との心理的距離感を作っている」という解釈できます。

あなたが「人との距離感をいつも感じる」ということは、「あなたが人との間に心が距離を感じている」ということ。

もちろん実際にはあなたが見た相手の表情・言動などで「相手は私と距離を取りたいのかも?」「相手は私を避けてる?」と自分の中で想像し、どこか拒絶された感覚や距離を置かれた感覚を感じ、それが孤独感に繋がっていくのかもしれません。

そこでは寂しさも感じるでしょうし、時には悲しみも湧き出すことだってあるかもしれませんね。

この「人との距離があるな」と感じる感情。心理学では「分離感」と呼びます。

そしてこの分離感を私たちが感じているとき、この分離感を「投影」という心理作用によって周囲に映し出すのです。

「投影」とはとてもメジャーな心理作用で、自分の感じている感情を周囲の人・モノなどにに映し出し、あたかも周囲からその感情を感じているような感覚を覚える心理作用のこと。

例えば、辛いことがあったとき、その日の空がどれだけ晴れていても「気持ちいいなぁ~」とは感じずに、なんだか物悲しく感じたり、空しく感じることもあるかもしれませんね。それは空が物悲しく空しいからではなく、あなたの気持ちが物悲しさや虚しさをそのように感じるんですよね。これが「投影」という作用なんです。

これを今回のリクエストにあてはめると、あなたが「他人と距離があるなぁ」と分離感を感じているとき、あなたは周囲の人にその分離感を映し出し、あたかもその人が私に対して距離を感じているように感じる、ということ。

つまり、あなたの分離感が周囲の人に映し出されて、まるで私が人に距離を取られているように感じることがあるのですね。そして周囲の人同士が私より近い距離感の中にいると感じるのであれば、それはあなたが周囲の人より強い分離感を感じている、ということでもあるんですよ。

そう考えていくと、実は周囲の人たちがあなたとの距離感を感じているのか?距離をとっているのか?について、この時点では分からないこと、判断できないことでもあるんですよね。

するとどうでしょう?

どこかあなたの中で「もっと人と近づきたい!」と思っていたとしても、何か理由があって「あなたの心が人との距離感をとりたいと感じている」からこそ、リクエストにいただいたような状況が生まれると考えられるのです。

このような考え方を「投影を取り戻す」と呼びます。

どんな状況であっても自分の感情が投影して相手に映らないことはない。

だとすれば、相手から感じる感情を、一度自分の感情として見つめ直すことがとても大切になるんです。何故なら、投影されている感情を自分の感情であると認識し取り戻さない限り、映し出された感情はあくまで「他人の感情」になってしまい、あなたが今のこの状況を変化させる可能性を消してしまうからなんですね。

「人の気持ちは変えられない。」そう思ってしまえば自分から何もできなくなることってとても多いですものね。

そして、投影を取り戻すことができると、次に「あなたが人との距離を作り分離する理由は何なのか?」という考え方ができるようになります。これがこのような問題を解決する一つの突破口になってきます。

もちろん人との距離や分離感を強く感じる理由はたくさん考えることができますが、自分の心がこれ以上傷つかないように、または過去に心が傷ついたから「自分の心を守る」という防衛作用として人との距離感を作り、分離感を感じていることはとても多いものです。

しかしその過去の経験や記憶は現実であまり思い出されることなく、ただ人との距離を感じるという感覚だけが残ります。

『どうして私は私を守るために「分離感」を感じるようになったのだろう?』

この問いかけを自分自身に続けることで、あなたが自分を守り始めたルーツを探ることができます。

そしていつか「分離感」を使って防衛的に生きることよりも楽な人間関係があることを知ったとき、あなたの心は親密感という分離感の対極の、心の傷を癒し、とてもいい気分をになる感情に出会うことができるでしょうね。

この記事を書いたカウンセラー

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年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。