ブラック企業をやめたいのですが

相談者名
KEI
ブラック企業で7年間働いています。年間休日は50日ほどで、残業代や休日出勤手当が支払われることはありません。タイムカードは調査があったときのために、2重になっていて、残業や休日出勤はしていないことになっています。
年収は200万円に満たず生活も苦しいです。有給休暇もなく仕事中に怪我をしても労災を使うことは許されていません。社員25名ぐらいの会社ですが、うつ病で辞めていく人が後を絶ちません。わたしのポジションも前の人もその前の人もうつ病で辞めました。今も2名がうつ病で休職中です。製造業ですが、商品やプロセスに偽装があり顧客に嘘をついています。そのこともとても気が重いです。ピアプレッシャーが強く、いじめがあります。物を捨てると怒られるので会社は乱雑でゴミ屋敷のように汚いです。ここにいるだけで具合が悪くなり、私も3度も免疫系の病気で入院しました。病気になったことで減給処分となりました。経済的なことや生活のことなどいろいろと葛藤がありましたが、最近ようやくこの会社を辞めようかと思い始めました。そこで、質問は、心理学でいう「受容」と「投影」についてです。
このような状況を受容する、というのは具体的にどういうことでしょうか。
辞めるという選択は受容できなかったことを意味するのでしょうか。
また、現在のこのような状況は私の内面の投影なのでしょうか?私の内面が変われば、このような場所でも楽しくやっていけるのでしょうか?またそうするべきでしょうか。
カウンセラー
近藤あきとし
KEIさん はじめまして。
カウンセラーの近藤あきとしと申します。
どうぞよろしくお願いいたします。メールに書いてくださったようなハードな職場で7年も働くには
普通ではない頑張りが必要だったのではないでしょうか?
よく耐えてこられたと思います。
私は素直に驚いています。

そして、どうしてそれだけハードな職場で長期間働き続けることが
出来たのかが知りたいと思ってしまいました。かなり労働条件が
悪いなかで、しかも一般的な水準で考えて相当低い収入であったのに
続けてこられたことに、お金や環境よりもやりがいを感じられるような
仕事だったのでしょうか?

> ブラック企業で7年間働いています。年間休日は50日ほどで、残業代や休日出勤手当が支払われることはありません。タイムカードは調査があったときのために、2重になっていて、残業や休日出勤はしていないことになっています。

> 製造業ですが、商品やプロセスに偽装があり顧客に嘘をついています。そのこともとても気が重いです。

会社からそうするように言われていたから、仕方なく…と言ってしまうことも
出来るかもしれませんが、
KEIさん自身は、そうとは割り切れるものではなさそうですよね。
まるで、嘘や偽装を自分もその片棒を担いでやってしまっているような気に
なってしまうかもしれませんよね。「僕はなんてことをしているんだ」と
自分を強く責める気持ちもあったのではありませんか?

なかなか簡単に打ち明けられる話ではありません。
勇気を持ってお話いただいてありがとうございます。

まるで自分の魂を削りながら仕事と向き合っているようにも見えてしまいます。
社員として職務を全うしなくてはという責任感もあったのでしょうか?
頼れる、相談できる誰かの一人も周りにはいなかったのでしょうか?

KEIさんは自分の誠実さを横において、割り切って仕事だから仕方ないと
思って済ませられる人ではないように、私には感じられます。

本当は誰かの役に立つために、真面目に仕事がしたい優しい人なのでしょう。
嘘をついたり何かを犠牲にすることなく、素直に情熱を傾けられるようなことを
一生懸命にやっていきたい誠実な方だと思います。

これほどの厳しい環境でも今の職場で働き続けてきた理由が何かあったのかと
やっぱり考えてしまうんです。例えば上司に何らかの義理があり辞めるに辞められ
なかったのか、自分の力で職場を改善していきたかったのか…
何らかの事情があったのかもしれませんね。

「受容」についてを質問していただいていますが、受容するというのは、
相手の全てを受け入れる、ただ相手とつながってみようと思うことです。
徹底して相手の味方になろうとすることとも言えるかもしれません。
それは、ある相手や状況を否定し批判しているだけでは、いたずらに自分の
エネルギーを消耗するだけで、一向にその人との関係や状況は改善していかない
ものですから、そのような場合には「ただ受け入れる」ことが求められていると
いうものです。

それはある意味、KEIさんに今の職場をもっと良くすることが出来る、
社員たち(経営者、労働者含めて)を助けられるだけの才能があるからこそ
今の状況を受け入れ切れていない自分を責める気持ちが出てくるのかも
しれません。

しかし私から言わせていただければ、KEIさんはもう十分に今の環境を
受容(受け入れ)し、出来ることをやってきたように感じられますよ。

続いて「投影」についてですが、私たちには自分の心の中で感じている心理状態や
思考パターンを人やモノに映し出すことを無意識的にしてしまう仕組みがあると
いうものです。

まるでテレビや映画を映すプロジェクターのように、自分の感情を周りの人たちや
社会に当て嵌めて、自分がそう感じるのだから、きっと周りもそう感じているに
違いないと思ってしまうんですね。

「私たちが見ている世界は全て投影である」という考え方もあるくらいで、
突き詰めると、「私たちの周りの人やモノは全部が自分自身である」と思うものです。
何か問題が起きても、誰かのせいにするのではなく自分の問題と捉えることで
問題の本質と向き合っていくことが解決への早道になるということです。

だからといって、悪いことがおきたことも「自分のせいだと思いなさい」
ということではありません。そこで求められるのは、自分の人生の選択が出来るのは
自分自身しかいないということを思い出すということです。

KEIさんにとって今必要なのは、人生の主人公の座をもう一度自分に取り戻すこと
なのかもしれません。
そして自分自身の価値を正しく受容(受け入れる)するということでもあります。

おそらくKEIさんは、自分自身への期待(これくらいは出来るはず、出来て当たり前
という気持ち)が大きくて、周りからの評価を素直に受け入れることが出来ないの
だと思います。今、周囲の助けの手や、KEIさんの価値を見てくれる人たちのことが
見えているでしょうか?

自分を責める気持ち、自己攻撃が強ければ強いほど自分の評価や本来の価値を
受け入れることは難しくなってしまいます。出来ることなら、KEIさんには
周りの人の評価してくれる声をキチンと聞いてみて、向き合って受け入れる
チャレンジをしてほしいなと思います。

もしよく分からなかったり、抵抗感があるなら、それを難しくさせている理由も
あるかもしれませんから、その場合はカウンセリングなどで誰かに手伝ってもらい
ながら見つけていくと良いと思います。KEIさんはもう十分苦しい思いはしてきた
でしょうから、楽な方法を選んでくださいね。

今何もかも理解はしなくてもいいですが、気持ちが落ち着いたら私たちに
KEIさんが抱えてきたものを教えていただけたらと思います。

KEIさんが未来へ向かって、自分の足で進んでいく為のお手伝いをさせていただきますからね。

今回はご相談ありがとうございました。

近藤あきとし

この記事を書いたカウンセラー

About Author

超自立男性との恋愛・コミュニケーションに関わるお悩み・慢性的な生きづらさの解消などを得意とする。 理論的な“心理分析”と、感覚を使った“心理セラピー”を活用する多面的なサポートが好評。 問題の裏に隠れた「真実の物語」を読み解き「自分の本質を生きる」ことを目指すカウンセリングを提供している。