みんな素晴らしい(私以外)~嫉妬の心理学~

誰かのことが妬ましいという感情は、私たちが抱く中でもとりわけ強く激しいものです。それは良好な人間関係を築く上で大きな障害となるだけでなく、心身にまで大きなダメージを与えます。

ところが、そんな嫉妬という感情を指して「最高の感情」と言った人物がいます。セレブタレントとして有名なあのパリス・ヒルトンです。なぜ彼女は、嫉妬こそが最高の感情であると考えたのか?
友達や彼氏など、近しい相手に抱いてしまう嫉妬の心理から心の取り扱い方について考えていきます。

◎リクエストを頂きました◎
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どうしても分からず、困っている事があります。私は、彼氏の長所や、目標を持ってて取り組んでいるとか、仕事が出来る事や、友達関係など、妬んでしまい、別れると尚更妬みが強くなり、苦しくてたまりません。
幼少期は、友達を妬んでいました。親には否定されて育ちました。

別れると、相手は自身をコントロールでき、私より高い所にいて、平気なイメージで、自分は下等で立ち止まっている感じです。それについては早くから自分ばかり本性を出し、相手はそうでもないからだと言われました。
なんだか自分は普通の人と恋愛感情が違う気がしています。

別れると体調不良になり、落ち込みすぎ、毎回苦しいです。恋愛が怖いです。お世話になります、どうかよろしくお願いします
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誰かのことが妬ましいという感情は、私たちが抱く中でもとりわけ強く激しいものです。それは良好な人間関係を築く上で大きな障害となるだけでなく、心身にまで大きなダメージを与えます。

そんな嫉妬という感情を指して「最高の感情」と言った人物がいます。セレブタレントとして有名なあのパリス・ヒルトンです。

なぜ彼女は、嫉妬こそが最高の感情であると考えたのでしょう?

嫉妬は最高の感情

嫉妬は自分が持っていないものを持っている相手に対して抱くネガティブな感情です。
それは「羨ましい」という感情に通じつつも、より激しく強い情動を伴います。

そんな嫉妬についてパリスは、「嫉妬というのは最高の感情。悪魔は優しい心の人にカルマを与えるの。私は一度も嫉妬したことがないわ」と言っています。

つまり、嫉妬というのは優しい心に生じる宿命的なワナということでしょうか。
なぜ妬ましいのか?どうすれば嫉妬は消えるのか?

ネガティブな感情を感じると私たちは、どうすればその感情を感じないで済むか、遠ざけることができるか?という思考にばかり囚われてしまうものです。

けれど、少し見方を変えてその感情が生まれてきた背景、根っこの部分に何があるのか?を見つめてみます。すると、思いがけないものが見えてくる場合があります。

嫉妬が広がる心には「あなたは、私よりも恵まれている」という敗北感が潜んでいます。それは痛ましいほどに絶望的な他者承認といえます。

嫉妬するというのは、実のところ「相手を認めている」ということに他なりません。

あなたは恵まれている
あなたは素晴らしい
あなたは幸せだ

もし嫉妬が最高の感情であるとしたらそれはネガティブな情動の裏に「相手を素晴らしいと認める気持ち」が潜んでいるからではないでしょうか。

嫉妬したって構わない

自分の持っていないものを持っている相手が妬ましい。そんな感情の発芽は生後5ヶ月足らずの乳幼児にも見られるといいます。

嫉妬というのは感情の中でも相当に根深いもののようです。そんな、人間としてごく当たり前の感情を感じないでおこうとしてもなかなか難しい。

だから誰かを妬み嫉妬してしまうことがあっても、自分を恥じたり責めたりする必要はありません。
嫉妬したっていいのです。

けれど、過ぎた嫉妬は私たちを苦しめ、人生を暗いものにします。できることなら、嫉妬心をうまくコントロールして、もっと楽に生きていきたいものです。

みんな素晴らしい、私もまた素晴らしい

「あなたは素晴らしい」と、肯定的に他者を評価できるということは、本来素晴らしい考え方といえます。

ところが。
相手を認める気持ちが嫉妬に変わる時、私たちはこう考えます。

「あなたは私よりも素晴らしく、私はあなたよりも劣ている」と。
けれど、それは本当に正しい理解といえるでしょうか?誤解ではないと言い切れるでしょうか?

もし、今あなたが仕事や対人関係において、望む通りの結果を得られていないとしても、それがこの先一年、三年、十年と変わることのない事象といえるでしょうか?

嫉妬に苦しむ時私たちは、自分と相手との間に埋め難い隔たりがあるように感じます。
けれど、それは大きな勘違いです。嫉妬を感じる相手というのは実はとても近しい相手といえます。

例えば、芸能界に憧れる女の子がいるとします。彼女は今をときめくトップアイドルや世界的に有名なハリウッド女優に嫉妬心を抱くでしょうか?

いいえ。彼女がもし嫉妬するとしたらそれは、自分と人気を二分するクラスメイトの女の子にであり、がんばれば追いつけそうな身近な相手のはずです。

嫉妬というのは本質的に、遠くかけ離れた存在の相手に感じるのではなく、近しい存在であるほど強く感じるものなのです。

いいな、と好意を抱いていたはずの彼なのに、お付き合いが始まって暫くするとイライラや嫉妬心が芽生えてくる。

それは、彼の存在が以前と比べて近くなってきたからこそ生まれる感情であり、親密感の裏返しなのかもしれません。

嫉妬したって構わない。
それは、相手を認めることができる広い心を表しています。

嫉妬心に苦しむ時、私たちのマインドには「私以外はみんな素晴らしい」という呪いがかけられています。
そんな時にはこう考えてみるようにしましょう。

確かにあなたは素晴らしい。けれどそれを認められる私もまた、素晴らしい。

(完)

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