夢に潜んだ心を理解する

私たちにとって「夢」というのは身近でありながらとても不思議なものでもあります。それは時に、未来を予知するものと考えられたり、心の奥深くに潜んだ願望を映し出したものと考えられたりもしてきました。

夢は無意識からのメッセージ、とも言われますが、夢の中で怒っている、そんな風に家族から指摘されたという方は案外多いのかもしれません。なぜ夢の中で怒ってしまうのか?夢で怒っていると言われたらどうすればよいのか?今回は、そんな夢と心の関係について考えてみたいと思います。

◎リクエストを頂きました◎
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夢の中でよく怒っていると言われます。
寝言もかなりはっきり言うようで、以前「最近は〇〇さんに怒ってるの?」と言われたこともあります。自分でも自覚している時もあり、そんな夢を見た日は朝からぐったり疲れます。

夢は無意識からのメッセージと聞きます。
私はそれほど普段の生活の中で色々抑圧しているのだろうかと考えてしまいます。
夢と怒りについてお話をお聞かせいただけると幸いです。
よろしくお願い致します。
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「夢の中で怒っているのは、普段我慢しているから?」

私たちにとって「夢」というのは身近でありながらとても不思議なものでもあります。それは時に、未来を予知するものと考えられたり、心の奥深くに潜んだ願望を映し出したものと考えられたりもしてきました。

今回は、そんな夢と心の関係について考えてみたいと思います。

「夢には抑圧された願望が表れている」そう考えたのは、精神分析の大家であるフロイトです。「無意識」の存在を初めて扱ったフロイトは、眠りという「意識の外」で見る夢には、幼児期に抑圧された無意識の願望が流れ込んでいると考えました。また、社会心理学者のエーリッヒ・フロムは、夢は言語化できない心の象徴であって、夢を分析することで潜在的な思考や感情を知ることができると言っています。

もしあなたが「夢の中で怒っている」としたら?

それは普段は気づかないようにしている憤りや、知らず知らずのうちに飲み込んでいる怒りについて、理解を深めるチャンスなのかもしれません。

○夢から心を理解する
昨夜の夢が無意識や潜在意識に隠れた願望や感情の表れだったとしたら?そこにどんな深層心理が隠れているのか興味がありますよね。

空を飛んだり、追いかけられたり、夢分析ではいくつか代表的な夢のパターンがあるそうです。
いくつかの例を紹介しましょう。

○空を飛ぶ夢
空を飛ぶ夢は夢分析ではもっとも代表的な夢のひとつ。ストレスのない自由な心理状態を表していると言われます。

○落ちる夢
高いところから落ちる、床が抜ける、下降する。そんな夢には不安な心が反映しているそうです。

○追いかけられる夢
新しい環境や考え方への怖れを表すそうです。自我が目覚める思春期によく見られると言われています。

○火事の夢
不吉なようで実は充実した精神状態を表すとも言われます。情熱の炎、ということでしょうか。

○性的な夢
欲求不満?と思われがちですが、実は気力の充実を表すそうです。古代ローマの皇帝カエサルが戦いの前に見た夢として有名です。

私は夢分析の専門家ではありませんが、カウンセリングではこのような夢をクライエントさんの心の状態を理解する「きっかけ」や「ヒント」として使う場合があります。ただ、大切なのは空から落ちる夢を見たから即、不安な心理状態ということではなく、その夢をクライエントさん自身がどう捉えているのか?です。

繰り返し見る夢、不思議な夢、なんだかよくわからない夢、そんな夢を見たなら、すぐに起き上がらずにしばらく余韻を味わってみましょう。普段は気づかなかった感情と出会えるかもしれません。

夢の中で怒っているあなたへ

泣きたい時に泣き、笑いたい時に笑う。
生まれたばかりの子供は、自分の感情を我慢するということを知りません。

ところが私たちは、成長の過程の中で自分の感情を抑えたり我慢したりすることを覚えていきます。大人になるということは、思考を使って感情をコントロールできるようになるということかもしれません。

ところが感情というのは、どんなに上手にコントロールできるようになっても決して消えてなくなるわけではありません。抑圧された感情は自分でも気づかないうちに心の中に「澱(おり)」のように積み重なっていきます。

とりわけ、怒りというのは感情の澱に蓋をして溢れ出さないようにする役割があります。

小さな子供を観察するとよくわかります。例えば、大好きなおもちゃを取り上げられた子どもの場合。

取り上げられたおもちゃを見つめ、まず何が起こったか理解できずに驚き、戸惑うでしょう。そして事態が飲み込めると、大切なものを失った喪失感は「悲しみ」の感情を引き起こします。「返して」と声に出して泣き出す子もあるかもしれません。

それでも返してもらえないと、やがて悲しみは「怒り」へと変化し、言葉も声も強く激しくなっていきます。さらに、それでも事態が変わらなければ外側に向かっていた「怒り」の感情はやがて内向きに流れ。。「そんなの欲しくないもん」と、ホントは欲しい気持ち、取り上げられて悲しい気持ちを「静かな怒り」で抑圧していきます。

夢の中で怒っている、という時。

本当は手に入れたいものをあきらめたり、わかって欲しい気持ちを無かったことにしたり、
伝えたい言葉を伝えないまま飲み込んだりしてはいないでしょうか?

夢の中で怒り、泣き、笑っているあなたが伝えたいことは何でしょう?
あなたの元にやってきた無意識からのメッセージに少し意識を傾けてみることは、心に積もった澱をクリーニングする効果があります。

でも、大切なのは深く考えすぎないこと。
夢の中でまで怒ってるなんて、嫌だ、なんて思わなくてもいいんです。

抑圧された感情というのは、感じてあげることでクリーニングされます。
夢に隠れた感情に気づき、意識を向けること。それがあなた自身の心を癒すことにつながるのです。

(完)

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