東京おむつ屋敷

小さいころ、特に女性の多くは”おままごと”で遊ばれた経験、あるかと思います。
人気だった役は、やはりお母さんでしょうか?
あのお母さんって、いわゆる専業主婦ですよね。
家で料理をしたり、子供のお世話をしたり、お父さんが帰ってきたら「お帰りなさい、あなた」なんて言ったり。
そんな”お母さん”に、私は漠然とした憧れや魅力を感じていました。
そんな時代から、私はいくつもの学生時代や社会人を経て結婚し、妊娠をきっかけに専業主婦になる機会を得ました。
おままごと時代のことは忘れていましたが、「これからは家事と育児に集中できるんだな」なんてのんびり考えていたのです。
しかし、実際スタートした私の専業主婦生活には、思いもよらなかった苦悩が待ち受けていました・・・。
“家事と育児しかやっていない”ことに対して、「さぼっている、自分はできないやつ」という風に感じたのです。
私の夫は、家事や育児にも手を貸してくれていたので、
「仕事をしていないのに、家事や育児を一人でこなせず、申し訳ない。」とも感じていました。
なので、家のことはできるだけ自分ひとりでこなそうと努力しましたし、
ソファーに座ってのんびりお茶を飲んで休憩なんて論外!と、必要以上にやることを探していたように思います。
でも、それを続けていく事は大変です。
それに、夫は私が仕事をしてないことを責めるような人ではありません。
頭では解っているんです。
でも、気持ちの方がどうしてもついていきませんでした。
「しないといけない」といった気持ちのもとで何かをして、「よし!私は今日これだけ頑張った!」
なんて自分自身を評価ができるわけもなく・・・。
「これでは足りない、もっとやらないと」が強くなる一方です。
私は専業主婦で収入が無いとうことから、さらに節約という形で現れました。
一時は、紙おむつを一枚当たり○円×銭単位まで計算をし。
そして、どこで買うのが一番安くて得か、「おむつが一枚、おむつが二枚・・・」と数え、電卓と睨み合っていました。
自分の収入がない分、出費を抑えることができることだと思いやっていたことでしたが、そんな私の姿を見た夫は
「そこまでやらなくていいよ」
と言ってきました。
その時の私は、
「何でそんなこと言うの!?私は、今の私にできることを一生懸命やっているのに!」といった気持ちでした。
それをそのままぶつけ、結果、勢いではありましたが、自分が今考えている事、
それに伴いやっていることを話し合うきっかけになったのです。
そして知ったことは、私自身が思っているほど、私は何もできていないと、周りが思っているわけではなかったという事でした。
例えば、
日々の洗濯物には、夫の通勤用のシャツや靴下があり、それらはちゃんと洗われていて、だから夫は毎日会社に行けている事。
毎日作っているご飯は、帰りが遅くてもちゃんと夫の分があって、帰っておいしいご飯を食べることが夫の楽しみであるという事。
そして何より、育児をしているからこそ、子どもが毎日元気に過ごし成長していて、そんな姿を見るのも、夫の楽しみだという事。
だからこそ、自分は毎日仕事を頑張れるし、それはとても立派なことなのではないか?と伝えてくれました。
私は自分が、”やっているか否か”だけを考えていて、
自分のやったことが他とどう繋がっているのか、考えてもみなかったのです。
確かに私は、”家事と育児”しかやっていないのかもしれません。
けれど、それらが”夫の頑張れる理由”につながっているのなら、
私の家事や育児にも、価値や影響力とか、意外とありそうな気がしてきませんか?
そして、自分の行動が誰かの原動力になっているのなら、自分にもまたやる気が出てきます。
私たちはそうやって繋がり、支えあっているのではないでしょうか?
あなたがもし、今の自分の存在意義や、動き方について悩まれているのなら、
自分の行動だけにとどまらず、誰とどんな風につながっているのか、ちょっと意識してみて下さいね。
あなたの行動によって、実は助けられている人、頑張れている人、きっといると思います。
そして、そういった発見があったら、ぜひ自分のこと、自分がやれていることを褒めて、認めてあげて下さいね。
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この記事を書いたカウンセラー

About Author

夫・6歳の息子との日常生活と心理学を繋げた、リアリティのあるカウンセリングを元に、自分のボーダー、概念を緩める提案を行う。 「心理カウンセリング」と身構えることのない、ラフでオープンな人柄とやりとりが、素直になれない・自分を出す事に抵抗がある・開放感を求めているクライアントに好評。