自分の持っているものを見直した日

こんにちは、大みぞなおみです。
今日は私の、むかしばなしから始まります。
よかったらお付き合いくださいね。
私は20代の頃、お洋服屋さんで働いていました。
場所は、横浜と銀座。
おしゃれで洗練された街…ショップスタッフとして、アパレル業界で働く私。
憧れいっぱいでその職についた私でしたが、そこはまさに競争の世界、そして女の世界でした。
売上のためにはかけひきあり、辛坊あり…素朴でどんくさい田舎娘の私はその波に、飲まれもまれて、毎日が四苦八苦でした。
毎日終電、休みの日も疲れて寝てるだけだったなあ…せっかく都会に住んでても、遊びに出かけるエネルギーもなくて、疲弊してました。
そうこうするうち、先輩スタッフとの折り合いが難しくなり、私はうつを患い、悩みながらも仕事をつづけ、結婚を機に退職、逃げるようにして、地元茨城に帰ってきたのでした。
結婚は幸せだったけれど…病気で仕事をやめたことで、夢に破れたような気持ちをいつもどこかで引きずっていました。
それはコンプレックスとなって、私の中にくすぶり続けました。
楽しかった思い出もあります。
流行最先端のファッションで店に立つ私。
月末は、予算達成に向けて接客にも力が入ったな。
売上上位に入って、スタッフ同士飲みにでかけて盛り上がったり。
そして何より、お客様に喜んでいただけたこと。
大変だったけど、華やかだったな…もう、あんな想いをすることは、私の人生にないかもなあ…でも、あの世界では、私は通用しなかったんだよなあ…
華やかな思い出の裏に、そんな情けない思いや自分を諦めた寂しさが、いつも隠れていたように思います。
さて、これは最近のことなのですが、好きなブランドのお店で、素敵なスタッフさんに出会いました。
色々おしゃべりしていると、羨ましさがわいてきて…自分の打ち明け話をしてみました。
「私もすごく前に、お洋服のお仕事をしていたけど、大変でやめちゃったんだ。
でも、もし、ずっと続けてうまく行ってたら、あなたみたいになれていたのかな、
だとしたら、すご~く気持ちいいだろうな~って思ったの。いいな、素敵だよ~」って。
そしたら、彼女も、意外なことを打ち明けてくれたんです。
「私も仕事続けたくて、結婚逃しちゃったことがあったんで…
今お客様(わたくしのことです)と話してて、結婚してたら今頃は、だんなさんと生活しながら、好きなお洋服を買いにくる、奥さんになってる人生もあったのかなって思ってたんですよ~」…って。
(アパレル販売は、帰宅時間が遅くなることもあり、結婚して続けるのは、なかなか難しいのです)
へええ、びっくりです…彼女は、主婦に憧れがあるそうなんですね。
私はあんまり意外で、「あなたは主婦に、どんなイメージがあるの?」って聞いてみたんです。
彼女曰く、
「エプロンつけて、鍋がコトコトコトって…(煮物やスープを丁寧につくっているらしい)
で、ピンポーン、あっ、おかえりなさーい、バタバタ…みたいな…
(だんなさんを玄関に迎えにいっているらしい)」
言ったあと、恥かしい!って、くにゃくにゃしてたのが、とっても可愛かったです(笑)
私:
「実際の主婦って、中にはそういう人もいるかもしれないけど、私なんかは、料理はフライパンでじゃじゃ~とか、まぜまぜのっけて丼ぶりでハイ!とか、そんな慌しいのばっかりよ、おかえりなさーいも、結構声だけで、あんまりお出迎えしてないなあ…」
彼女:
「そうなんですかあ…でも、それも楽しそうですよ」
そう言って想いを馳せ、笑う彼女の表情は…元販売スタッフで現カウンセラーの私の感覚からして…お世辞が3、本音が7、くらいであるように感じました(笑)
お買い物を終えて、彼女に丁寧に見送られて、お店から出て思いました。
自分では当たり前に思っている日常、自分が持っているもの…捨てたもんじゃないのかな、いや、結構いいものなのかもね…もっと大切にしよう…まずは主人のお出迎えだね、ちゃんとやることにしようっと…
そんなことを思いながら、通りの角を曲がるとき、ふとお店の方を振り返ると、丁寧で美しいお辞儀を終えた彼女がお店に戻るところでした。
その背筋の伸びた、凛とした後ろ姿から、華やかで厳しい業界で、自分を通して働き続けてきた女性の、確かな自信とプライドを感じました。
うん、やっぱりステキ、憧れる…でも、私も結構、いいのかも…
自分では、気付けなかったり、つい忘れがちだけど、自分の境遇、世界にも、ちゃんと価値や光はあるのだと思います。
自分のステージを大切にして、もっと誇りを持っていいのかもしれないですね。
それを忘れず大切に磨いていけば、誰もがもっと、輝けるんじゃないかな、そんなことを思ったのでした。
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