●友達 −想いを伝える−

「友達っていったい何なのだろう・・・。」
これは、三年前まで私がずっと不思議に感じていたことです。
私には友達がいませんでした。
会社の人。
役者をしていたので、劇団の人。
高校の同級生。
こんな見方はしていましたが、「友達」という感じはありませんでした。
どの人に対しても・・・。
私が「友達」という認識をしていなかったんです。
だから、会社内でも話の中に、「友達がね・・・」という言葉があると、
「ああ、この人友達いるんだ。」といつも思いながら聞いていました。
私の中で、「友達」とは・・・?の定義がなかったんです。
「だって友達っていいものなんでしょう? 私はそう思えないから。」
「だって友達って裏切らないんでしょう? 私はいじめられてたから。」
「だって友達って利用しないでしょう? 私は利用されてたから。」
だからそんなふうに思っていた私には、
「いいものではく、いじめられ、利用されるなら、友達はいらない。」
これが答えだったんです。
そして同時に
「私に友達呼ばわりされる人は、きっと迷惑に感じるに違いない。」
そう感じていました。
麻痺してましたね。さびしいと思いませんでしたから。
友達いなくても生きていけるし、わずらわしいし・・・って。
だけどドラマ見るとむなしくなることが多かったです。
ドラマって、結構2人、3人の仲のいい女性って出てくることが多いです
からね。
「ああ、友達がいるとこんなふうに付き合うんだ。私は一生関係ない世
界だからいいけど。」
一生友達を作ることなく一人で生きていく寂しさに、気づきたくなかっ
たんだと思っています。
そんな私が「友達」と呼べる相手が出来たのが2年ほど前。
私自身がそのころカウンセリングやセラピーを受けていたんですけど、
それから「友達」ということを、改めていっぱい考えました。
「友達って何?」
「皆どうやって付き合ってるの?」
「ご飯食べて、おしゃべりして、それが友達なの?」
そんな疑問を持ちながら、ぎこちなく(私自身はそう思ってました)
付き合ってました。
あまりにも長い間、「友達」というものを知らなか
った為、どうやって付き合うのか全くわからなかったんです。
ようやく友達が出来そうだと思ったとき、「友達が欲しい」という気持
ちより、「普通の子になりたい」という気持ちのほうが強かったと思い
ます。
普通に友達がいる人になりたい。それが夢でした。
自分自身のそんな「わからない」だらけの気持ちを持ったまま、沢山の
人に近づいていきました。
ぎこちなくても、恐々であっても、それでも
今の自分が「異常だ」と感じていたから、私を友達として認めてくれる
人を多く求めました。
不安なら、不安な気持ちを伝えました。
怖いなら、怖い気持ちを伝えました。
わからないなら、わからないということを伝えました。
仲良くしたい、仲良くして欲しいことを伝えました。
友達になりたいなら、友達になりたいと伝えました。
そうやって人に近づいて想いを伝えるとね・・・。
私に関心を持ってくれる人が多くなったように感じたんです。
そう感じたらもっともっと関心を寄せて欲しくてもっと近づきたくなっ
って、やがては沢山の「友達」と呼べる人たちが出来ました。
こうやって文章にすると簡単ですが、もちろん本当に怖くて、時間もか
かったし、すごい葛藤がありました。
「友達」を作らなかった、作れなかった私が始めて自分にも友達が出来
たと感じたときは、涙がとまらなかったです。
「友達」って、自分が相手のことをそう思った時点で、すでに「友達」
なのではないかと今の私は思っています。
相手がそう思っているか思
っていないかではなく、自分がどう思っているかだと。
一方的ですが、そう考えるととても幸せなんですよね。
いっぱい「友達」がいると感じれますもん。
一方的だけど幸せに感じることが出来ると、沢山の人の前で笑顔でいら
れます。
笑顔を沢山向けると人が集まってきます。
近づいてきてくれま
す。そうすると愛されていると感じられるので、自分からも近づけるよ
うになりました。
今は忙しくてなかなか会えなかったり、話せなかったりすることも多く
あります。
さびしいと感じることも確かにあるけど、不安はありません。
いつでもつながっていると思えるようになったからです。
「あなたにとって友達とは・・・?」
もし、今そう聞かれたら、
自分の沢山の想いを正直に伝えることが出来る人。
そして、自分の想いや考えを沢山伝えたいと思う人。
私が愛したい人。
私が接したい人。
私が仲良くなりたい人。
そんなふうに私は答えたいと思っています。
小川 のりこ

この記事を書いたカウンセラー

About Author

アルコール依存症の父からの虐待経験、学生時代のいじめから、恋愛依存、不倫や風俗を経て、自分を抑え付けるような結婚生活後、8年で離婚。その後自分に向き合い、今は穏やかに生きる。 過去のあらゆる経験をもとにして、恋愛関係、家族関係を得意とし、お客様と共に成長するスタイルを取る。