●YOU ARE MINE

先日、テレビで歌手の平松愛理の特集をしていました。
私は昔、平松愛理のおっかけをしていたことがあり、興味深く番組を見ていました。
内容は彼女が今まで生きてきた怒涛のような人生を再現していました。
内容はこんな感じでした。
彼女は、歌手としてデビューしたときに重度の子宮内膜症になり、本来なら3センチ
くらいの大きさの子宮が7センチにまで腫れ上がっていたそうです。
そして病院で手術を受けるとき承諾書に「子宮摘出」の文字があり、なかなかサイン
ができませんでした。
そのとき一緒に来ていた母親が、病院の隅で泣いていた姿があったそうです。
結果として医者の配慮で子宮は摘出しなかったそうですが、以来12年間痛みを抱えた
まま、仕事をしていたそうです。
そんなそぶりをファンには微塵も見せずに。
そんな時、当時彼女が付き合っていた彼が、子宮内膜症の話を聞いて彼女の元から
去っていきました。
そのとき彼女は、「自分はもう結婚なんてできないかもしれない」そう思ったそうで
す。
そんなときに作った曲、それがあの「部屋とYシャツと私」でした。
彼女はどんどん仕事が忙しくなり、同時に内膜症の痛みもどんどんひどくなっていっ
たそうです。
冬でも半そでで汗をかく姿や、何度も収録中にあ倒れて病院に担ぎ込まれたりしなが
らも、彼女は歌い続けました。
そんな時、好きな人ができたのですが、以前のことが頭をよぎります。
子どもが産めないかもしれない私が、結婚するなんて・・・。
しかし、結果として彼のほうから告白してきました。
「僕は君の子どもと結婚するんじゃない。君と結婚するんだ。」
この言葉が、彼女のあきらめかけていた夢を実現させました。
そして結婚。
「部屋とYシャツと私」を、このとき始めて「自分のため」に歌いました。
そして、1995年の1月17日。
彼女は神戸市の出身で、実は私の実家からもそんなに離れていないところに彼女の実
家があります。
私がファンになった理由のひとつに「地元」があったのは言うまでもありません。
彼女にとって、見慣れた大好きな街並みが無残な姿でテレビに映ったとき、言葉を失
いました。
幸いだったのは家族が無事だったことです。
彼女は精力的に活動しました。
被災した人々の心を少しでも癒すために。
そんな時、奇跡が起きました。
子どもができたんです。
彼女は、どこかで子どもをあきらめていたのかもしれません。
でも子どもができたことを彼女はこう語っていました。
「きっと、震災で亡くなった人の誰かが、この人のところに生まれてこようと私たち
を選んでくれたんだ」と。
しかし、クリスマスイブの夜、彼女は不正出血で倒れてしまいます。
夫が運転する車の中で、自分の不安を少しでも解消するように、彼女は「赤鼻のトナ
カイ」をおなかに向かって歌い始めました。
そして、夫も一緒に歌って励ましてくれました。
不正出血の原因は「切迫早産」。
次に不正出血があれば母子ともに命の保障は無い。
最低2ヶ月はベッドの上で絶対安静。
実はこのことは、ファンクラブに入っていた人たちには連絡がありました。
今危険な状態だけれども、安心して見守っていてほしい。
その1枚のコピーされた直筆の手紙には、彼女のファンに対する想いがいっぱい詰
まっていたのを覚えています。
そして、無事に女の子を出産しました。
彼女は、生まれてきた女の子に分娩台の上から「ハッピーバースデー」を歌ったそう
です。
ところが、その後。
子宮内膜症の痛みというのは、子どもを生むと治るケースが多いらしいのですが、彼
女の場合は治らず、再び痛みと戦うことになりました。
「この子に兄弟を」
彼女にはそんな想いがあったのですが、立っているのがやっとなくらいな痛みを抱え
ていては、子どもに優しく接してあげることもできない。
「娘のために」
彼女は12年間に渡って付き合い続けてきたこの痛みを手放すことにしました。
子宮を摘出したんです。
これでもう大丈夫、そう思った矢先です。
今度は乳がんが見つかりました。
彼女は子どもに心配をかけないよう、「海外に仕事に行く」と言って手術しました。
手術は無事に終わったのですが、その後今まで経験したことのない痛みが彼女を襲い
ました。
もう子どもに隠すこともできません。
彼女は悩んだ末、がんを公表し、闘病生活に入りました。
ここまで書いて自分でも思ったのですが、この人はよくここまでいろんなことがあっ
たよなぁ、としみじみ感じます。
コンサートやファンの集いなどで彼女に会っても、病気のことなど微塵も感じさせず
に、自分のできるせいいっぱいを表現している。
「歌手になりたい」
「歌いたい」
「結婚したい」
「子どもがほしい」
「生きたい」
どんな困難があろうと、彼女は自分の信念を貫き通した。
その結果、彼女が望んだものがすべて彼女の手の中にある。
今までファンとして彼女を見てきた私ですが、今が一番輝いて見える、そんな感じが
しました。
今彼女は復帰して、歌い始めています。
今まで自分を支えてくれた人たちに感謝しながら。
そして、歌うことのできる今に感謝しながら。
そんな彼女の想いの詰まった歌が「YOU ARE MINE」だそうです。
よかったら、聞いてみませんか?
中原 謙一

この記事を書いたカウンセラー

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