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2017年1月17日

『綺麗になることが怖かった』 仁和(庭野)智美

女性であれば、一度はあこがれる"マシュマロのようなつや肌"ってありますよね。
女性向けの雑誌にはいつも、綺麗な女優さんのドアップが表紙を飾っています。
雑誌だから綺麗なのは当たり前です。
何ともいえない屈辱や負けを感じるのは、実は、自分の周りにいる
肌のキレイな女性たちを近くで見るときだったりするんですね。

小学校6年生のときだったか、周りの子たちと比べて顔にニキビが出てくるのが
早かったと思います。
「お前、なんでそんなに赤いの?ギャハハ!」と男子にからかわれ、
嫌な顔をしていると、その男の子はさすがにしまった!と思ったのか、
「アトピー??」と聞き返してきました。
そのとき、思わず頷き、自分が嘘をついてごまかしたことを未だに覚えています。

そこから私の青春はニキビとの闘いとなりました。
中学生になるとますます症状がひどくなり、
見かねた母親が皮膚科へ連れて行ってくれました。
医者からは「年相応のホルモンバランスによる影響だから仕方ない」と言われ、
消毒薬と塗り薬、飲み薬をもらったものの、ある程度の年齢が来たら良くなるもの
だと信じていたので、それっきり皮膚科には行かず中学生を乗り切りました。

ところが、高校生になってもなかなか終息せず、
額ニキビから頬や顎の辺りに移動してきました。
額なら前髪で隠せるものが顔面の目立つところにできてしまうので、
毎日鏡を見るのが苦痛に感じ始めていました。
年頃の女の子でしたから(一応ね。笑)好きな人ができたとしても
私には付き合うことはムリだと思い、人を好きにならないように
気持ちを抑えていたのです。
なぜ、付き合うことがムリだったのか。
それは、近くで見られたら絶対に肌が汚いって
思われて嫌がられるだろうって思ったからです。

高校を卒業し、専門学校へ通うようになってからは
周りが女の子ばかりだったので、男性からの目線は
あまり気にならなくなっていました。
それと同時に、二十歳近くなっても一向に良くならないニキビを
治したいとも思わないようになっていました。
それは、女としてキレイになることを諦めた瞬間だったような気がします。

周りの子が化粧品を使って可愛くしたり綺麗にメイクしたりしていても、
自分には無縁のものだと思い込んでいました。
違う世界の話だから、自分が化粧品コーナーに行くことすら
場違いなことだと信じていました。
学生生活では勉学や実習があり強いストレスにさらされていたこともあり、
肌のことどころか体のことさえ大切にせず、暴飲暴食していた時期もあります。

社会人となり働き始めてからも、諦めたとはいえ、
やっぱり鏡を見るのがつらいことには変わりありませんでした。
自分の顔を見て特に顕著に感じる苦しさは、
彼氏ができないという現実を目の当たりにすることでした。
かといって、自分の顔を理由にすることは人前で簡単にいえることではなく、
ずっと平気なフリをしてきたのです。
友達からは「もうちょっとだけ痩せたらいいんじゃない」とか
「遅刻癖は直さないとだらしない女だと思われちゃうよ」とか
言われたこともあります。
でも、それは私には全くヒットしない言い訳でした。
どこか、私の苦しみはきっと誰にもわからない、
という思いもありずっと口をつぐんでいました。

社会人3年目の頃、経済的にも余裕が出てきた私にチャンスが訪れました。
ある時、友人がフェイシャルエステに誘ってくれたのです。
最初は少し警戒心がありましたし、値段も高いなぁとも思いました。
お試しだけで終わろうかなと思ったのですが、
なんだか「今しかできないかもしれない」という思いがわいてきました。

思い切って10回コースを申し込み、
月に2回ほどのペースで通うようになりました。
自分以外の人の手がわたしの顔を優しく触れてくれたことが
気恥ずかしい気持ちでいっぱいでした。始めのうちはニキビ
(というか、この頃はもう吹き出物ですかね。笑)が点在しており、
肌への蒸気や吸引機などの刺激もあって、
一時的に顔面が真っ赤になってしまいました。
それほどまでに敏感肌であることに、それまで全く自覚がありませんでした。

また、エステティシャンの方からも肌の手入れを教えてもらったり、
ちょっとした変化に対して一緒に一喜一憂してくれたりしました。
そうしていくうちに、自分の肌を丁寧にケアしていくことの
喜びを感じ始めていました。
そして、それは私が自分への自信を取り戻していくプロセスでもありました。

10回コースが終わる頃には肌の状態もずいぶんと改善し、
自宅でのセルフケアも手慣れたものになりました。
自分で自分を大切に扱う、ということは、
何か特別なことをするのではなく、普段から何気なくやっている
一つ一つの行動から変えていくことなのかなぁと思いました。

美容に何万円もかけている人を見てあまりいい印象をもっていなかった私が、
こんなに充実したお金の使い方をするとは思ってもみませんでした。
私は、自分が綺麗になれるなんて信じていなかったので、
そうなることが怖かっただけなのかもしれません。

一番怖いのは、ずっと諦め続けてしまうことなのかな、とも思います。
自分が欲しいものをもう一度認めてみると、案外願いは叶うのかもしれませんね。

仁和(庭野)智美のプロフィールへ>>>

投稿者 cseditor : 2017年1月17日 00:00

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