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2016年11月 1日

『退屈の行方』 池尾千里

「なんかいいことないかなー」

10代後半?20代、よく呟いていたフレーズです。
そういえば、最近は言わなくなりました。

でも、小学生のこどもたちは、退屈すると、
「なんかいいことないかなー」
っていつも言っています。

退屈して、この台詞を呟いているときは、私たちは、何かいいことを体験したいし、そのためのエネルギーがあります!ということですよね。こどもたちなら、エネルギーが余るほど、いつも元気いっぱいですから、何か面白そうなものを探すのもうまいですし、もしそういうものがみつからないとなると、ジタバタしちゃうくらい退屈を感じるんですね。このジタバタで、エネルギー使えていたりもするのですが(笑)

ここで、退屈を感じることについて、時代によってずいぶん変わったなと思うことがあります。

アナログな時代、例えば、携帯電話がない時代とか、スマホも、インターネットもないとか、ゲームもあんまりないとか、もちろんY○utubeも、amaz○nもない、そんな時代にいたらどんな感じだと思いますか。

「えーつまらなさすぎ!何してたらいいのー」
って、きっと思いますよね。

私は、この時代に20代でしたので、先にも申し上げたように
「なんかいいことないかなー」
って、いつも呟いていたんですね。

ちょっと想像していただきたいのですが、家にいる時。
本や雑誌や漫画を読む、音楽を聴く、テレビを観る、くらいしかやることなかったんですね。この過ごし方だと、まあ1日やったら、もう飽きますよね。
そうするとどうしていたかというと、誰かと会うしかなかったわけです。

でも、この時代、電話はありますが、だいたいリビングの近くに置いてあったり、子機で話したとしても、誰かと電話してることは親にもわかるし、充電はなくなるし、電話代も昔は結構しましたから、小言を言われるしで、誰かと繋がろうとすると直接会うのが一番簡単で、楽しかったのです。

すると、友達といつも一緒もいいけど、やっぱ「彼氏(彼女)」だな!みたいになりやすく、もともと友達と会う機会が多ければ、友達の友達と会うことも、そのまた友達と会うことも多く、異性に出会って、恋愛に発展する機会も自然と多かったものでした。

時代もあって、結婚をしなくてはいけないような、義務感もありましたし、社会の目や価値観も、たしかにありましたが、独身の男女が出会う機会自体が、単純に多く、お年頃の男女が出会えば、恋愛にも発展しやすく、結婚という流れになるのも自然だったともいえるでしょう。

おつきあいしていても、「バイバーイ」と別れたら、メールをすることもできませんし、ダーリンの声を聞きながら、眠りにつくなんてことは、ほんとに難しいことだったんです。でもそのかわり、またすぐ会おうって話になりやすいですよね。しかも、こんなんだったら、さっさと結婚してずっと一緒にいたい!というふうにもなりやすかったのではないでしょうか。

では、現代に話を戻してみますね。
今は、パソコンやスマホがあれば、自分の部屋が世界と繋がっています。
日本だけにとどまらず、世界の情報が入ってくるし、こちらから発信することも可能です。しかも、ONもOFFも自由自在ですから、好きな時間に繋がることができ、嫌になったらOFFにしてしまうこともできます。

誰かに会いに行かなくても、誰かと繋がることができ、欲しいものが部屋で買えて、翌日に届いたりします。娯楽も無数にあります。あらゆる細分化されたジャンルが用意され、自分の細かなこだわりやニーズが満たされやすくなっていますよね。

これは、まったく素晴らしい時代になったものだと、浦島太郎のような気分になります。しかしながら、私たちがこんな便利な時代に生きている時でも、「退屈」だと感じることがあります。「退屈」どころか、生きていることの意味がわからないように感じる方もいらっしゃいます。

私の部屋には何もないから、外に飛び出すしかなかった時代から、すべて部屋の中で調達できるようになったのに、心が満たされないと感じる現代の違い。それは、何なのでしょう。

人と出会うこと。

これが、人である私たちには、どうも必要なようです。
自分だけでは、私たちは自分のことが、実はよくわからないのです。
何者であるのか、どんな人なのか、何ができるのか。

誰かに優しくしてもらった。
ひどい目にあった。
褒めてもらった。
誰かが泣いていた。
なぐさめてもらった。
叱られた。
好きって言われた。
きらいって言われた。
笑顔を見た。

人と出会って、経験することが自分を知ることであり、成熟することでもあり、人生を豊かにすることでもあります。人と出会わないことで、それをしそびれているとしたら、人生にとってはちょっと大きな損害だと思いませんか。

「なんかいいことないかなー」

心のどこかで、こんな呟きが聞こえている時、部屋のドアを開けて、誰かに出会う時かもしれませんね。

池尾千里のプロフィールへ>>>

投稿者 cseditor : 2016年11月 1日 00:00

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